東京で暮らす女のとりとめのない日記

暮らしとカルチャー、ミクスチャー

冬支度

夫のアウターが好きだ。もともと身体を締め付けられるような衣類が苦手なこともあり、この時期になると夫のクローゼットからアウターを拝借して出かけることが多い。その中でも特に彼のライダースが好きで、袖を通すたびに独特の革の匂いと重さ、完全無欠な暖かさにいつも魅せられる。そうしてさも自分のものであるかのように「これいいでしょう」と言って夫に見せては「いや俺のだよ。いいけど」と笑って返されるのがお決まりだ。
そんなことを寒くなるたび繰り返していたが、やはりメンズの衣類は所詮彼らの体躯に合わせて設計されているものである。久しぶりのデートで彼がそのライダースを羽織った時、やっぱりこのライダースは彼が着た時に完成されるものなのだなと悟った。ライダースも誰が主人かを理解している。「私も自分だけのライダースが欲しい」と思い立ったが吉日で、その日は夫に買い物に付き合ってもらうことにした。
クリスマスの音楽が流れるテナントを真剣な面持ちで周り、渡り鳥のようにあの店この店と足を運んでは様々なライダースを試着する。しかし夫のライダースのような、肉厚で着た瞬間に暖かく、スタイルが美しく見えるものが中々見つからない。途中から投げやりな気持ちになって、暖かくて可愛かったらなんでもいいやとテディベアのようなコートに吸い寄せられる。私がfluffyな素材に弱いことを知っている夫は始め「またそうやって!」と笑って眺めていたものの、流石に5軒目で思うところがあったのか、もはやライダースには目もくれずにプードルライクなコートへ真っ先に向かおうとした私に両腕を広げ、通せんぼの形で行く手を遮られた。予想だにしなかった夫の行動にびっくりして見上げると「今日はライダースを探すって言ってたでしょ。君は静電気に吸い寄せられる毛玉か?」と言うので口を開けてぽかんとしたのちに、お腹を抱えて笑ってしまった。確かに言い得て妙である。静電気に吸い寄せられる間抜けな毛玉。
気を取り直して色々なライダースを見てはみるものの、やはりしっくりくるものが中々見つからない。所謂セレクトショップにあるライダースは薄手のものが多く、恐らくライダース特有の重みや硬さが利用するユーザーの求めるニーズと一致しないのだろう。餃子の皮のようなそれらを一瞥し、袖も通さず店を後にする。
6軒目の某ブランドでようやく「あら素敵」というライダースを見つけたものの、恋人同士と思われるカップルの男性が終始悩んでいる女性に対して「もっと自分に自己投資しなよ」と言葉を放った場面に出くわしてしまい、完全に興をそがれてしまった。時々こうしたところに買い物にくると、ヒギンズ教授の十番煎じを見かけることがあって正直気分が悪い。赤面したお嬢さんを気の毒に思いつつ、外野が口を出してもなと踵を返し、素敵さが褪せたライダースを横目に店を後にした。
7軒目に向かう途中、ちょっとお腹が空いたので夫にチョコレートを買ってきていい?と聞くと「じゃあ俺も」と人混みの中に消えていった。お腹が空いていたのかなと思いつつ、買ってきた板チョコを一欠片だけ口に放り込むと、後ろから夫の「お待たせ」という声が聞こえた。両手にはフレッシュジュースがあり、「シャインマスカットとピンクグレープフルーツどっちがいい?」と言われて「シャインマスカット」と間髪入れず返すと「だと思った」と微笑まれる。嬉しい気持ちとこれ以上甘やかさないで欲しいという気持ちが一瞬拮抗する。
糖分を摂取して機嫌も良くなってきたので、手を洗って消毒をして7軒目のお店に入ろうとする。しかし店内の圧が他のテナントよりも圧倒的に強く、思わず怯んでお店の前を通り過ぎようとしてしまった。夫に「後生だから先に入ってよ」と懇願し、親鳥の後をついていく雛鳥よろしくひょこひょこついていく。店内に入ってみればそれほど緊張感もなく、何より「これだ!」と思えるライダースがどのお店よりも多かった。久しぶりに値段と関係なく「これが欲しい」という状態になっている自分に気がついて高揚する。声をかけてくれた柔和な店員さんが好きに着てくれと言うので、遠慮なく自分が強烈に惹かれた一着を出してもらい、試着をすることにした。
袖を通した瞬間「これ買います」と口から言葉が漏れていた。横で夫がくつくつと笑う声が聞こえる。きちんと肉厚で重くて、クラシックな作りのライダース。表面はザラザラとした革の風合いが残っており、着ると暖かくレザー独特の匂いがある。自分の身体の一部の様な荒々しくも美しい一着。やっと見つかった!という気持ちだった。このライダースは一生着れますよと店員さんに言われ、今後の人生の傍にこの服がある未来を想像して嬉しくなる。
思えばファストファッション以外で服を買うなんて何年振りだろう。学生の頃から今日までずっと倹約していたこともあって、何年か振りに服飾費へお金を使っている状況に胸がいっぱいになるような感覚を覚えた。一度倹約すると中々支出しても良いと思えるラインが元に戻らない。以前よりも買うことに対してシビアになってしまった自分が、またこうした買い物をできるとは思っていなかったので素直に嬉しかった。仕事を頑張って良かったと思う気持ちと、ストレスが溜まっていたんだなという視点と、仕事を頑張ろうという気持ちがさざ波のように寄せては返してゆく。
帰り道、夫が「楽しかった!」と言うので「今日は私の買い物に付き合わせてごめんね、ありがとう」と言うと「いや、本当に楽しかったんだよ」と微笑まれて何も言えなくなってしまった。こういった返しをさらりとできる夫を心底得難い人だと思う。
とうとう手に入れた、私だけのライダース。これから少しずつ自分に馴染んでいく過程がすでに楽しみで仕方ない。いつかまた運命の一着に出会った時に、きちんと捕まえられるよう働いていこうと思いながら。

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家で何度も着ては夫に似合うと言わせている

 

カレーうどんを作る

てんぐ食堂のカレーうどんが無性に恋しくなったので昨日の夜のうちに鰹出汁を引き、今日の午後は群馬旅行のお土産で買ったまま冷蔵庫の化石になりかけていたひもかわうどんを茹でてカレーうどんを作った。
別室にいる夫がカレーの香りに誘われたように出てきたので「今できたところだよ」と告げ、どんぶりを取ってもらう。踏み台を使わないと届かないところにあるそれを取るのはいつしか夫の役割になりつつある。できたてのカレーうどんをよそって渡すと「ありがとう、じゃあ会議行ってくるね」とまた部屋に吸い込まれていった。昼休みに入る暇もなく会議が続いている夫を歯がゆい気持ちで見送る。本当であれば一緒に食べたかったそれを一人で食べる気にはなれず、残りは全て冷凍して自分は玄米に焼いた鮭、味噌汁といういつもの昼ごはんを食べた。
しまった一緒にお茶を渡しておけば良かったなと思い、カメラに映らないようしゃがみこんで別室の扉を薄く開ける。幸いカメラはついていない会議だった。気配を感じた夫が振り返って(めちゃくちゃうまい)と口パクで告げてきたのでこちらもハンドサインを駆使しながら(お茶いる?)と尋ねる。いるとのことだったので、台所へ戻ってグラスに氷を入れ、ペットボトルから緑茶を注いで夫のデスクに置いた。(ありがとう!)と満面の笑みを送る夫を撫でたい気持ちを抑えて小さく手をふりそっと扉を閉める。
仕事中の夫は知らない人のようでいまだに緊張する。もしこの人と会社で出会っていたら、きっとお互いの警戒心の強さも手伝って、決して今のような関係にはならなかっただろう。出会った時の夫は柔和で優しいが決して自分を安売りしないような潔癖さがあった。初めて会った時、不可抗力で肩が触れてしまったことがあったのだが、夫はそれから薄く、しかし相手が傷つかないくらいの間合いで距離をとり、私はそれにいたく感動したのだった。ともすれば身体的な接触の好機とするものもいるのにそうしない、ということが当時の私にはとても得難いようなものに感じられ、こんな人に好きになってもらえたらどんなにいいだろうと思ったのだった。
とはいえ一緒に生活していると、そうした新鮮な気持ちよりも慣れが優ってくるもの事実で、先日私たちにしては珍しく小さな諍いがあった。その時、流石にこれは長期化するかなと覚悟したのだが、夫が「なんで怒っているかわかりたいから教えてよ」と真摯な目でまっすぐ尋ねてきたことに不意をつかれた。たとえ言い合いになっているとしても「あなたをわかりたいから話そう」とする姿勢がなんともこの人らしく、あっという間につまらない意地が溶かされ、どうでも良くなってしまった。どうしてこんなことが言えるのだろう。言葉にしていこうとする部分と、言葉にしないでおく部分のセンス。まったくもって私はお釈迦様の手のひらで暴れている孫悟空のようだ。
夫が人間関係に潔癖な節があるのはこの情の深さによるところもあるのかもしれない。彼は一度自分のテリトリーに迎え入れた人間を、よほどのことがない限り見放さない。彼は「この人には情をかける義理がない」と決断するまでのリーチが私よりも長いのだ。時々自分がそんなことを忘れていることにある種の傲慢さを感じて恥ずかしくなる。
明日はもっと夫のことを慮れるようになりたい。そして次に小さな諍いがあった時には、私から彼にあなたを理解したいと伝えていけるようになりたい。そんなことを繰り返していけば、都会で嫌な人間になっていくように思えた自分が、少しは良いものになれるだろうかと思いながら。

美味しい暮らし #9月編

9月も変わらず繁忙期。今年は変則的な業務が多く、否が応でも振り回されるイヤな感じが続いている。アンコントローラブルなものに対していかに自分が振り回されないか。こういう時に寄る辺としての宗教があれば少しは楽なのだろうか。私は特定の宗教に属さず信仰心も厚くない人間で、今後もその予定はないけれど、たまにそんなことを考えたりする。
河合隼雄は家に神棚があることを「なんか落ち着きまっしゃろ」と言っていたけれど、確かに自分の行いを客観視するためには自分ではないものへ語る場のようなものがあると、気持ちを棚卸ししやすいのかもしれない。私が時々、もうここにはいない人へ語りかけるのと同じように。
制御不可能なものを制御しようとせず、そういうものだとやり過ごすようになってからはだいぶ楽になった。何もかも真正面から受け止めず、そうすることとそうでないことを選り分けていくこと。最終的に自分が目的としていることが叶っているか、目先の小競り合いに気を取られて見失わないこと。一方でアンコントローラブルだが、絶対に許せないものもあって、そういう時にきちんと怒り、対話していける人でありたいと思う。
ひとまずは繁忙期が過ぎたらしばらく旅に出て静かに過ごしたいな。最近はyoutubeで飛行機の窓の外を夜更けから夜明けまでずっと写したものを眺めています。

 

 外で食べたもの

ル・パン・コティディアン 芝公園

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いつも休日は昼前まで起きてこない夫がこの日は珍しく早起きだったので「朝食を食べにいこうと思うんだけど一緒に来る?」と誘って芝公園へ。なんとなくオムレツが出てくるモーニングが食べたい気分だったので、何年振りかにここに来ました。お店には5種類のジャムがあり、自分が使いたいものを都度持ってきてもらえるのも良いところ。この日はいちじくのジャムをお願いしました。
テラス席にすずめが遊びに来ていて長閑だなと思っていたら、夫が「朝食にここのパン屑を食べてたら元の生活には戻れまいよ」と言っていてちょっと笑ってしまった。そんな解釈ってあるだろうか。
ここに来ると知人がベルギー滞在時代、本店で食べたパンのあまりの美味しさに、毎朝足繁く通い、食べ過ぎて一気に太った話をよく思い出します。グランプラスで行われているパフォーマンスが面白かったことや、オーガニックコスメが日本より充実していてトランクはお土産の基礎化粧品でパンパンになったこと、屋台で出会ったワッフルが異様に美味しくて永住を考えたこと。旅行に行けなくとも、すでにそこを旅した友人知人の話を思い出すとき、心はその地に降り立っているように錯覚します。

喜喜豆漿

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CREAの記事に去年11月に台湾の朝食を出すお店が雑色にできたと書いてあるのを見て、ずっと行きたいと思っていた喜喜豆漿。たまたま昼前に出張に行く予定が入ったので、フレックスを使って朝ごはんを食べに行きました。
crea.bunshun.jp

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店内。カウンターの他にテーブル席もあります。風が抜けて気持ちがいい。

駅から歩いてすぐのところにお店はあり、清潔感のある店内にはカウンター席とテーブル席が用意されています。お冷などはセルフサービス。注文は自分で書いて店員さんへ渡すスタイルでちょっとワクワクします。

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お店のメニュー。注文表に自分で書いて渡すスタイルで楽しい。

メニューには台湾料理の軽食がずらり。まさかここで饅頭が食べられるとは思っていなかったので嬉しい。豆花や鶏肉飯などもあり、どれにしようかとっても悩む。

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この日頼んだ鹹豆漿と饅頭。

結局この日は目当てにしていた鹹豆漿と饅頭に決めました。まずは饅頭。ちぎるとほの甘くてよい香りが漂います。顔を埋めたくなるくらいふわふわの生地。結構食べでもあって、これだけでお腹がいっぱいになりそう。冬の朝にひょいと買って食べたくなるような美味しさです。
続いて鹹豆漿。目がさめるようなお酢の酸っぱさとザーサイのしょっぱさ、海老の香ばしさとおぼろ状になった豆乳の口当たりが美味しい!見た目からもっと滋味深い味を想像していましたが、きちんと味にメリハリがあって美味しく、豆乳の豆っぽい味が苦手な人でも食べられる印象です。油條がスープを吸ってもちもちになっているのも良かった。
初めてお店で食べた台湾式朝ご飯は、とても楽しく満足でした。お店の雰囲気やご主人の人柄もよく、付かず離れずの接客で楽しく過ごすことができたし、知らない街での朝ごはんってショートトリップ感があって良い。仕事が落ち着いたら都内の台湾式朝ご飯を巡りたいな。


林フルーツ フレッシュジュース

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松濤美術館で真珠展を観てシボネに向かう途中、夫が「フレッシュジュースが飲みたいな」と言うので東急の地下にある林フルーツへ。夫はデパ地下のフルーツ屋さんにあるジューススタンドが好きらしく、たまにこういうことがあります。
いつもはしゃんとしている夫が、この時だけは無垢な顔つきでこぢんまりとジュースを飲んでいる姿を見るのが好き。可愛いと言う言葉には内包し難く、いつ見てもいいものだなと思います。私のジュースは桃、夫のジュースはメロン味。写真は自分のジュースの写真を撮ろうとしたら夫がスッと隣に置いてきた図です。
先にジューススタンドについていた夫に「あなたの分は桃にしておいたけど良いでしょ」と言われて有無を言う隙もなく手渡された桃ジュース。いいのだけど、この選択肢なら確かに桃一択なのだけれど、完璧に分かられている感覚にスポイルされているなと思ったり。
林フルーツのジュースは今まで飲んだフレッシュジュースの中では誇張抜きに一番美味しかったです。


トラットリア ブカマッシモ 

なんの予定もない休日。先日、古石場文化センターに小津の展示コーナーがあるということを聞いたので、ちょっと行ってみましょうかと降り立った門前仲町。路地を通りかかったところ、雰囲気の良いイタリアンがあったので、これまた思いつきで飛び込んでみました。
お昼は1980円と3960円のコースから選べて、メインとドルチェがつくかつかないかの違いです。できれば同じものを食べたかったけれど、食べきれる自信がなかったので私は前者、夫は後者のコースにしました。お冷や用のアンバーのグラスの可愛さ。光を受けた影まで素敵。

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一番初めに出てきた前菜。端正に盛り付けられた一つ一つの料理がとっても美味しそう。一瞬苦手なグリーンピースが入っていてドキッとしたのですが、ものは試しと食べていたらこれが意外と美味しくて、めでたく克服することができました。以前神田の味坊でパクチーを克服できたように、外食で苦手だと思っていた食材を美味しいと思えた時、なんとも言えない歓びで胸がいっぱいになります。

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前菜の内容はサーブ時に説明されますが、たくさんあって忘れてしまうという、なんとも嬉しい事態。そんなときはキッチンの上部にメニューがあるので、確認することができます。ちなみに私はとうもろこしのフリッタータが一番好みでした。

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続いてメイン。食べない人にもとりわけ用にきちんとテーブルを整えてくれる優しさ。お肉の絵が描かれたプレートもお茶目で可愛い。夫に一切れだけお肉をもらったのがこれまた美味しくてびっくりしました。バルサミコソースのとろりとした甘さもいい。

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そしてメインのパスタ。2人でシェアできるようあらかじめ分けるか聞かれたので、是非とお願いしました。右側はトスカーナ州のシエーナ地方名物らしい、ピチというパスタ。左はペンネアラビアータ。ピチは讃岐うどんのようにコシがあって、モチモチとしていて美味しい。トマトソースがくっきりとした印象で迫ってくる。ペンネアラビアータはピリッと辛くて、夜に飲んだあと締めで一口食べたら幸せだろうなというような味。 

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最後にドルチェ。これも二人で食べられるようフォークを2つ付けてくれるという徹底っぷり。あまりにもサービスが良すぎて申し訳なくなってくる。今度来るときはちゃんとお酒も頼んでお金を払いたい。エスプレッソもちゃんと香りが良くてクリアな苦味で美味しい。ティラミスと合わせるのが好き。
お店の中には一人で来ている人も多く、休日のランチをワイン片手にこうした場所で過ごせたら確かに素敵だなと思うなど。門前仲町は下町風情が残っていて、どの路地も美味しそうなお店が多く、散歩をしているだけで心が躍りました。帰りは小津の生家跡を訪ね、そのまま清澄白河を抜けて日本橋から帰路へ。たくさん歩き、美味しいものを食べ、良い文化に触れたいい休日でした。

 

9月に作った料理

茄子のタイ風サラダ

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9月は蒸し茄子にハマって色々なやり方で美味しく食べました。練りごまにチューブニンニクを加えて塩少々を入れたソースで和えて食べるのも良いし、出汁と一緒に冷やして食べる前に千切りにしたミョウガを乗せすだちをギュッと絞ったものもいい。写真のものは、蒸し茄子にざくざくと適当に刻んだトマトにきゅうり、パクチーナンプラー、にんにくと生姜とレモン果汁を混ぜて作ったサラダをソースがわりにかけたもの。どれも等しく美味しく簡単にできるので、来年の夏から初秋にかけてまた作ろうと思います。

チキン南蛮風30分チキン

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30分チキン作りにハマった9月。色々と味付けを試したのですが、個人的にはこのチキン南蛮風が一番好みでした。弱火でパリパリチキンを作った後に別添えでタルタルソースをかけるだけ。揚げていないので胃が弱い人でも、脂質の取りすぎが気になる人にもおすすめです。
我が家のタルタルはらっきょうの甘酢着けを細かくみじん切りしたものにマヨネーズ、半熟卵に刻んだディルを和えたものが定番。たまにみじん切りにした玉ねぎを少し加えたりもします。レシピというほどきっちり計って作っていないのですが、目分量でも失敗なくできてとても美味しいのです。余ったらトーストしたパンに乗せたり、白味魚やサーモンのムニエルに乗せても良いのも良いところ。ぜひハーブがお好きな人は試してみてください。

きゅうりのサラダ 

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買い出しに行けない日が続いて、とうとう冷蔵庫にきゅうり1本と残り物の野菜がほんの少ししかない窮地に陥り、なんとかそれっぽい料理にしようと試行錯誤して奇跡が起きたもの。冷蔵庫の食材を組み合わせてうまく作れた時の達成感ったらありません。
きゅうりは1本丸々ピーラーで薄く剥いて、そのままお皿に乗せます。傷みかけのパクチーは豆板醤と生姜・胡麻油と醤油に塩少しで和えてきゅうりの上にがさっと乗せる。最後に白髪ねぎを乗せて完成。ほぼ目分量料理にしてはうまくでき、とても美味しかった!来年の夏も作ろうと思います。

塩枝豆

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だだちゃ豆がスーパーに売っていたので「これ美味しいんだよ」と夫に教えたところ、食べてみたいということだったので家に帰って塩ゆでに。東北ではメジャーな種類の枝豆ですが、関東では珍しいのか夫は初めて食べるとのこと。レシピは白ごはん.comを参照しました。
www.sirogohan.comだだちゃ豆は香りが強いので、茹でている時からすでにいい匂いがしてウキウキします。他の枝豆より香りが良いのは勿論、特に9月上旬のものは甘みと旨みがひときわ強いのも特徴です。塩して茹でて、もうこれだけでご馳走。怖いくらい手が止まらなくなります。
夫はいたく気に入ったらしく、それ以来冷蔵庫から無くなるたびにだだちゃ豆を買ってくるようになりました。これと一緒にIPAを開けて晩酌をするのが平日夜の楽しみらしく、また一つ東北の美味しいものを気に入ってくれて密かに嬉しく思います。

 蒸しとうもろこし

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とうもろこしは蒸して食べるのが一番好き。とうとう蒸籠を買ったので、この夏はたくさんとうもろこしを蒸しました。初めはアルミ製の蒸し器とそんなに変わらないんじゃ無いかなと思っていたのですが、蒸籠で蒸すといつもより食材がふっくら仕上がってひときわ美味しく感じます。蓋を開けた時の杉の香りも良い。寒くなったらスーパーで買ってきた肉まんを蒸してもいいし、蒸したてのじゃがいもにマヨネーズをつけて食べるのもやりたいな。蒸籠がある生活、おすすめです。

夫が作った料理

9月後半からまた忙しさがぶり返し、仕事で手一杯でごはんを作る気力がなかった間、夫が色々なごはんを作ってくれたので一部だけご紹介。夫よ、いつもありがとう。


ラッサムとマッシュルームのスパイスカレー

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あまりにも美味しい、夫の作ったラッサムとマッシュルームのカレー。ラッサムはミールスについてくるものと遜色無く、カレーはこれまで家で食べたカレーの中で一番美味しかった。夫にレシピを教えてと言ったところ、下記のレシピを参考に作ったとのことでした。私の反応が良かったからなのか、最近では家を空ける前には必ずラッサムを作り置きして出かけていくようになりました。

cookpad.com

こちらのレシピを提供しているプラバニールさんは、クックパッドで「ごはん日記」なるものを書いていらっしゃるのですが、これがすごく良い。素朴でいい語り口の文章が沁み入るようです。
クックパッドのコメントを両親に伝えたところ「もっと美味しいものがあるから」とレシピを教えてもらったこと、桜の季節に茶の湯を楽しんだこと、インドの歳時記などなど。読んでいるだけで心が和みます。惜しむらくは2018年で更新が止まっていること。いつかまた落ち着いたら、インドの美味しい料理と近況を書いて欲しいものです。

舞茸の土鍋ごはん

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 しばらく使っていなかった土鍋をごそごそと出してきたので「何をするの?」と聞いたら舞茸の炊き込みご飯を土鍋でやるとのこと。ありがたくお任せして、出来上がったものを美味しく食べました。
お家で土鍋ご飯をやるときは、マルドンのシーソルトをお焦げの部分にぱらりとかけて食べるのが好きです。パリッと香ばしいお焦げにカリカリした塩の食感が美味しい。マルドンのシーソルトは友人がTwitterでオススメしていたもの。美味しいものに対するアンテナが高く、なおかつ惜しみなくそれを教えてくれる有り難さ。常に頼りにしています。
ところで、土鍋ご飯で炊くお米の美味しさにはっきりと気がついたのは、自粛期間中に作った鯛めしがきっかけでした。自分が食べたいものを作り、自分の望むペースで食べられる幸せよ。自分の食べたいものを適切に拾うことができると、家料理はますます楽しくなるのだなと思います。


ピーマンの肉詰め

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夫が作ってくれるピーマンの肉詰めはいつも綺麗な仕上がり。私が作るとなぜか肉はこそげ落ち、ピーマンはしなしなになってしまうので、いつもはてなと首を傾げます。夫は私と違って一気に作れる品数は少ない反面、作った料理のクオリティがいつも高い。料理をする人が家にいると、自分の調理方法などを振り返ることができて良いです。
ところで最近カルディで適当に買ったケチャップが美味しくて、ピーマンの肉詰めを作ってもらうときは、ソースにこれを使って欲しいとお願いしています。甘めでコクがあるケチャップで、これでナポリタンを作るとお店の味みたいになる。チリソースにしても良い。汎用性が高く美味しさの的を外さないので、自分が料理の天才になったのではないかと勘違いするアイテムです。

www.kaldi.co.jp

カルディや成城石井北野エース、はたまた紀伊国屋クイーンズ伊勢丹のような素敵なスーパーが好き。面白い調味料やお酒、ニッチなお菓子やお酒のあてになりそうなお惣菜を見ている時の小さな高揚感。スーパーは日常と非日常をつなぐ淡いグラデーションの部分を楽しくしてくれる、偉大なインフラだなと思いつつ。

過去の記録はこちらから

lesliens225.hatenablog.com

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美味しい暮らし #8月編

振り返って8月、プライベートの記憶はほとんど無いなということに気づきました。薄々勘付いていたけれど、私は月の残業時間が40時間前後あたりで推移すると、コミュニケーションが煩雑になり、視野が狭くなって意味もなくパニックになるタイプだと思う。
働きたくないわけではないし、むしろ働くこと自体は好きだけれど、しかしそれはあくまでも対価を得られる労働が好きなだけで、仕事にやりがいや自己実現といったものは望んでいない。残業代を稼ぐことや、チャレンジングな案件のマネジメントに携わるよりも、家で勉強したり料理をしたり、ジムで適度な運動をしている方に充実感を覚える。あくまで仕事は健やかな自分を保つことができ、過不足なく生きるためで、それ以上でも以下でもないというのが私のスタンスだな、と思う。
通常の業務に加えて納期が短くかつ絶対に転けられないプロジェクト、トラブルによるタスクの発生と処理。新人教育のハンドリング。8月はもう無理だなと思う瞬間が何回もありました。自分の要領を軽く超えているので、来月からはもう少し意識的に手を抜いてやっていかないと壊れてしまう。周囲の人たちはみんな一生懸命で志も高い。でも一生懸命な人はトラブルを生むよな、とも見ていて思う。自分の立ち位置はどこに定めようか。
気がつけば仕事のことばかり考えていた月だったけれど、夫とペルセウス座流星群を見るために夜の城ヶ島へドライブをした時だけは、それから解放されて晴れ晴れとした気持ちになれました。
平たい岩場に仰向けに寝そべると、ひんやりとした温度が背中越しに伝わって気持ちが良い。暗闇から寄せては返す波の音を聞きながら、目が慣れるまでじっと空を見つめ続ける。次第に白色の輝きが一つ、二つと増してくる。星々の集まり。夜空のきらめき。星明かりの濃淡から、銀河の在り処を推測する。時折、遠くの灯台の明かりが右目の端をチラチラと掠めては消えていく。
目を凝らさなくても、それが道理とでも言うように、まるで清水のごとく次から次へと流れ星が流れていくことに気がつく。流れ星が銀糸のような薄くか細い尾を引いて、暗闇に吸い込まれていく姿を見ていると自分の心の中にそれが流れ込んでくるように錯覚する。窮屈だった心と頭にわずかに余白が生まれてくるのを感じて、夫の方を振り返るとこちらを見て静かに微笑んでいることに気づき「この人はいつもそうだ」と改めて思いました。
同じように岩場に寝そべって星を眺めている他の家族の方から「お母さん今星が流れたよ」「あら、良かったわねぇ」と言う声が聞こえてくる。仕事は一生懸命になりすぎない程度にもう少し頑張ろうと思う。でも、これを一生懸命にならなくても回せるよう、組織としての仕組みも考えたい。

 

福島の桃 あかつきとまどか

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今年も実家から大量に桃が届いたので、ほぼ毎日夕食後のデザートに桃を食べました。去年はアールグレイマリネや桃モッツァレラなどを試したけれど、なんだかんだでそのまま食べる桃が一番美味しいねとなったので今年は特にアレンジは無し。特にあかつきは甘みが強く豊潤なので、サラダや前菜にするにはあまり向いていないように思う。
まどかは今年から出荷され始めた品種なのだけど、こちらはあかつきより甘くなく食感も固め。桃モッツァレラや、柑橘類を使用したマリネにはこちらの品種の方が合っているように思いました。香りはあかつきほど強くないので、香りが強い食材と合わせたら桃の風味が負ける印象です。
桃は常温保存派だけれど、二人暮らしでは桃が朽ちるスピードに消費量が追いつかない事もあり、なおかつ去年はそれで二玉駄目にしてショックを受けたので、今年は半分をアルミホイルで包んで冷蔵保存に。それが功を奏したのか、今年は腐らせずに全て食べきることに成功しました。ものすごい達成感、来年もこの作戦でいくぞ。しかし、気がつけば冷蔵庫には夫宛に贈られてきた梨やシャインマスカットが大量に自然発生しており、我が家の果物戦線はまだ予断を許さない状況なのでした。どうして。
ちなみに我が家は桃を剥く担当は夫。昔、私が桃の皮を剥くのに失敗して指を切ってしまったことがあり、以来我が家では夫が皮剥き担当を務めているのですが、毎年この時期になると夫の手から少し桃の良い香りがするのが風情があって好きだなと思います。

TA-IM 丸の内店

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8月に食べたものの中でどれが一番美味しかった?と聞かれたら迷わず真っ先にここの名前を挙げると思う。そのくらい強烈で美味しいランチだったタイームのランチプレート。この日は休日なこともあって二重橋スクエアの地下街は閑散としていました。
お冷はレモン水でアルコロックのグラスに入って出てきます。アルコロックのこのタイプのグラスはビール屋さんでよく見かけるけど、この使い方も可愛い。
始めに出てくるひよこ豆のスープは香辛料が効いていて具沢山で美味しい、ただただ美味しい。本当は今年イスラエルに行く予定だったんだよなぁとおもいつつ、せめて味でトリップできることをしみじみ嬉しく思います。
プレートのおかずはフムス、マッブハ、ババガヌーシュにファラフェル、サラダとピクルスにポテトフライ。これをピタパンにつけたり挟んだりして思い思いに楽しむ寸法です。日本人向けに肉や魚のおかずをプレートに組み込んでいないのも思想がはっきりしていて痺れます。中東や南アジア料理を食べる度に、野菜ってこんなに美味しくなるのかとため息をつくのですが、今回も「私は野菜のポテンシャルを何も引き出せていない…」と思うなどしました。野菜のポテンシャル、引き出して行きたい。
見た目に反してかなりがっつりランチなので、食いしん坊の人でも満足できるはず。イスラエルビールもワインもあるし、夜も使えていいと思います。今度は恵比寿のタイームにも行ってみたいな。

神田 Yaoyu 

もう仕事が限界すぎて、何か美味しいものを食べないとやってられんわと上長に長めの昼休憩をもらって家を飛び出した八月の中盤。向かった先はずっと気になっていた神田のYaoyu。

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入り口入ってすぐの内装が無骨で良い。85−71という数字は、シェフのお祖父さんがこの界隈で八百屋を営んでいた時に、帽子につけていた鑑札の数字とのこと。

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建築時の目印などもそのままで、誰かの秘密基地にたどり着いたみたい。階段を1段ずつ降りるたびにドキドキする。
お店の中はオープンキッチンに隣接するカウンター席と、テーブル席で構成されています。広々としていて気持ちがいい。

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この日のランチは花咲ガニと塩レモンの冷製パスタ。ずっと食べてみたかったので嬉しい!
パスタはアボカドベースの花咲ガニのソースが均等に和えられていて、具には蟹のほぐし身以外に刻んだコリンキー、レッドオニオン、松の実が入っています。コリコリ、シャクシャク、カリカリと食感が変わっていくのが楽しい。白くふわふわしたものはレモン風味のエスプーマで、ディルとピンクペッパーがアクセントとして弾けます。食感も味も変わるので、食べ進めても全く飽きない。美味しいの連続。幸せが一皿にぎゅっと詰まってる…思わずお会計をしていた店員さんに「美味しかったです!」と言ってしまいました。写真だと量が少ないように見えるけれど、ポーションもしっかりあって大喰らいの人でもしっかり満足できると思います。本当はデザートも食べたかったな。

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ランチを食べ終わって満足した気持ちで外に出ると、食べている間に今日のメインは売り切れていたようでした。
これは料理と関係ないのですが、個人的に店内に飾ってあるドウダンツツジがきちんと手入れされているのもとても良かったです。最近店内を生花や枝もので装飾しているお店も増えてきたけれど、濁った水のまま放置されている花や木々を見ると本当にがっかりします。仕事が落ち着いたらまたいきたいな。

鎌倉 こ寿々

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鎌倉駅に行く用事があり、手ぶらで帰るのも味気ないなと駅の改札内にあるお土産やさんを物色していたら、小柄で可愛らしいおばさんに「ご試食どうぞ」とニッコリ手渡されていただいたわらび餅。これがとても美味しかった。見た目は普通なのに、通常のわらび餅よりもむちむちとした弾力があって喉越しが良い。予想外の食感に目を白黒させていると「うふふ、美味しい?」と言われてハートを射抜かれました。ずるい。こんなチャーミングな聞かれ方をしたら買うしかない。しかし鎌倉には何度も足を運んでいるのに、こんなお土産があるなんて全然知らなかった。鎌倉は行くたびに発見があって楽しい。
お店のホームページを見たところ、都内だと高島屋の銘菓百選に定期的に置いているようです。わらび餅フリークの人は、見かけたら是非手にとってみて欲しいな。私も見かけたらリピートしようと思います。

kosuzu.sun.bindcloud.jp

成城学園前 成城あんや

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この日は夫と成城学園前にある猪俣庭園へ。以前、御殿場で見た岸信介邸の精錬さが忘れられず、吉田五十八が手がけた他の建築も見てみたいと思って足を伸ばしてみました。
書院作りの建築は豪奢で美しいものが多く、部屋の作りが分けられている様式に気づく面白さがありますが、対する数寄屋建築、とりわけ近代数寄屋建築は、小空間をいかに住宅に反映させるかといった趣向を知る面白さや、職人と設計者の苦労を伺い知れるところが好きだなと思います。もっと色々な建築を見てみたい。ところで茶道嫌いで知られた吉田でしたが、猪俣邸の茶室は立水屋が設けられ利便性が高く、茶人でもあった猪俣に対する配慮が伺えました。
帰りは駅の近くにあった成城アルプスの喫茶室で休んでいこうと思っていたけれど、この日は満席とのことだったので泣く泣く断念し、向かいにあった和菓子屋さんへ。大福でも買っていこうかなとお店を覗いたところ、餡子入りのわらび餅という目新しいものが売っていたので買ってみました。
家に帰って水出しの緑茶と一緒にいただいたけれど、餡子とわらび餅って意外と合うんだという発見があり良かったです。普段洋菓子を好む夫もこれは好みだったようなので、またあの辺りへ寄ることがあったらお土産に買っていこうと思います。 

ロイヤルホスト 神田神保町

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多分人生で2回目のロイヤルホスト。この日は夫がランチのお店を決めてくれていたのですが、なんと目当てにしていたお店が立て続けに3軒も休業。8月に入ってからなんとなくですが、自粛期間を何とか乗り切ろうとしていた飲食店がパタパタと力尽きて店を閉めているような気がします。落ち込む夫を励まして、近くにあったロイヤルホストへ駆け込みました。
ロイヤルホストを利用したのは小学生ぶり。仙台に住む親戚にお正月の挨拶ついでにとご馳走になった想い出のお店。当時地元のファミレスと言うとココスとデニーズ、サイゼリヤしかなかったので、初めてロイヤルホストに行った時は地元のファミレスにはない絢爛さに都会のお店だ!と思ったものでした。オニオングラタンのスープが好きさ。
今回頼んだのはアンガスサーロインステーキサラダ。付け合わせのケールサラダはきちんとマリネされているし、ピーナッツドレッシングも良い。ステーキの下に敷かれているカリカリのフライドポテトはグレイビーソースを受け止めるためなんだろうな。もちろんステーキそのものも美味しい。お皿もチープな感じがないし、カトラリーはよくみたらノリタケ
出された料理のクオリティもサービスも良すぎて「もはやファミレスではなくてレストランだよ、企業努力凄まじいな…」と思っていたら、すでに言われていたことでした。

「ロイヤルホスト」を一人“1万円”で豪遊…!そのメニューとは?(稲田 俊輔) | マネー現代 | 講談社(1/3)
いいなぁロイヤルホスト豪遊。いつかやってみたい。ずっと憧れつつ食べられていないブリュレパフェもあるし、今度勉強をするときはロイホを利用するぞ。怪我の功名として思いがけない良い体験ができ、かなり満足したランチなのでした。

南印度ダイニング ポンディバワン 武蔵新田

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やっとプロジェクトの区切りが見えて久しぶりに定時で退社できた日。このまま何もせずに1日が終わるのが勿体無くて、夫に「美味しいミールスが食べたい!あとヘトヘトになるまで運動したい!」とリクエスト。色々調べて家から離れたこちらのお店に運動も兼ねて自転車でいくことに決めました。
こぢんまりとした佇まいのお店は可愛らしく、店員さんに促されるまま席に着きます。メニューを開くとミールスの他にも薬膳カレーなるものもあり、さらにはドーサやパロタ、サイドメニューもデザートも充実していてクラクラしました。悩みながら食べたいものを絞り込んでいく楽しさよ。
結局夫はミールス、私はベジミールスに決めたのですが、仕事からの開放感と目の前のご馳走にテンションがだだ上がりでした。バナナリーフをお皿にミールスが食べられるなんて幸せすぎる。ちなみに写真は完成系で、始めは目の前に何も乗っていないまっさらなバナナリーフが運ばれ、そこにカレーなどがサーブされていく仕組みです。手食用にフィンガーボウルも付いてくる仕様なので、初めて手食に挑戦する人にも優しい。私も今回チャレンジしてみました。手食楽しい〜!

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食後のチャイはホットかアイスの2種類から選べます。夫はアイス、私はホットにしました。デザートにラドゥも付いてきます。嬉しい。

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ホットのチャイは目の前でエアーブレンドをしてくれます。ふわふわの口当たり、まろやかなスパイスにとろける。これをみていた隣の席の家族がどよめいて、その後ホットのチャイを注文していたのが可愛かったです。自分が注文したものが誰かの呼び水になると、謎のしてやったり感があります。
メドゥワダもマサラワダも今まで食べた中で一番好みの味だったし、大根のクードゥもじんわり優しいスパイス使いで良かった。「お腹くるし〜」と笑いながら家まで必死に自転車を漕いで帰りました。
最近お酒に弱くなったこともあり、一滴も飲まずに美味しいものでお腹を満たして運動してお家に帰るのも良いなと思った週末。今度行くときはレモングラスを使った薬膳カレーが食べたいな。9月も食べたいものを食べられるよう、粛々と生きていこうと思います。

過去の記録はこちらから

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スキヤキを贈る


友人から結婚の報せが届いた午後八時、爪のマニキュアが乾くのを待ってから「おめでとう!」と返した。リズミカルなLINEのやり取りに、学生時代彼女と話すとあっという間に時間が経っていたことを思い出す。もう十年以上の付き合いになる彼女は、何年経っても出会った頃のピュアさを湛えていて、何があっても濁らないその強さが好きだなと思った。ヤバい、もうこんな時間だよーと言いながら駅まで駆けていくあの道は、知らず知らずのうちに分かれて今は別々の道だ。結婚相手の男は彼女を散々困らせてきたのを知っているので正直気に食わないけれど、彼女は優しく賢いのできっと上手くいかないことも含めて楽しくやっていくだろう。
昔、就職先の上下関係の厳しさに愚痴を零す彼女を誘ってミスドで好きなだけドーナツを買い、そのまま車の助手席に乗せて海へ連れて行ったことがあった。お互いのこれからの人生について語り合い、夢の話をした。あの時の潮騒は、今でも時折都会の雑踏に紛れて静かに聞こえてくる。

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彼氏にも家族にも言えない秘密を共有して、それをお互い守り続けられる相手に出会える確率は一体どのくらいなのだろう。誰にも言わないで欲しいんだけど、と念押しをしない間柄を彼女と築けたことは只々僥倖だった。あの頃あった友情を、こうして途切れることなく繋いでいける喜びをひとり静かに噛み締める。
次に会うときは大阪かぁ、寂しいなと言うと「東京の女と大阪の女で丁度いいじゃん」と言われて何がちょうどいいのよとくすくす笑った。結婚祝い何欲しい?いらないよ!旦那と美味しいものを食べるのに使いなよ!いや贈りたいんだよと押し問答の末、食べ物がいいと言うので高島屋で今半のスキヤキセットを注文して彼女に贈る。夜のリビングでパソコンを打ちながら、部活帰りに彼女が必ずファミチキを食べていたことを思い出した。
優しく賢い女の子。彼女の行く末が光溢れるものでありますように。

美味しい暮らし #7月編

もう8月も終わりに近づき、秋の気配を感じる今日この頃。会社からの帰り道をぼんやりと歩いていたら、目の前をアキアカネがすうーっと通り過ぎ、秋の報せを受け取ったようでした。今年の秋はどんな風に過ごそうか。
先日、秋の香水を探しに久しぶりに銀座へ出かけた時に、以前はあまりピンとこなかったルラボのガイアック10がまさに欲しかった香りそのもので、その場で小さいサイズを買って帰りました。香水も食事も、その時は自分のコンディションや環境に左右されてわからなかった良さが、ある日天啓のようにこれか!と分かる瞬間が楽しいなと思います。

香港麺新記 四ツ谷

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たまたま四ツ谷方面に行く予定があり、昔このあたりに住んでいた友人がここの麺が美味しいと言っていたことを思いだしてふらりお店の中へ。昼時を過ぎていたこともあって店内は私ともう一人の女性だけ。
頼んだのは什錦麺という汁なし麺。麺は香港麺と日本麺の2種類から選べたので、迷わず香港麺を選びました。目の前に運ばれてきた麺全部のせ、見た目が豪華で迫力がある。上に乗っているのは焼豚と青梗菜、海老雲呑と牛バラ肉など。美味しそうなものがちょっとずつ乗っている絵面にすごくワクワクします。
上の具材はどれも1品料理として楽しめるくらい、というかこれをつまみにあっさりしたビールが飲みたくなってくる。特に海老雲呑の食感がすごくプリプリで美味しくて、これだけ単品で注文したかった。細くてザクザクした噛みごたえのある香港麺に八角が効いたタレが絡んで美味しい。付け合わせのスープも、卓上調味料も良かった。
四ツ谷駅を久しぶりに利用したのですが、ネオバロック式の四谷見附橋も、明治時代の鉄道の名残が感じられる赤煉瓦も、皆変わらない風情を湛えていて不思議な気持ちになりました。東京の街を歩いていると、普段は見逃してしまいそうなところに史跡や旧家、戦時の名残などがあって、それを知るたびに自分だけの東京が形作られるように感じることがあります。昔そこにいたであろう人々の暮らし。当時信じられていたものたち。そうしたものを見つけるたびに、また少し東京が好きになれるような気がするのです。

蕪木

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 コーヒー好きの友人から推しに推されていたものの、なかなか予定が合わず伺えていなかった蕪木。たまたま稲荷町に用事があり、示し合わせたように夫から今日は遅くなると連絡があったのでこれはチャンスと駆け込みました。
店内は1階がお会計とお土産売り場、2階が喫茶室という構成です。喫茶室は一枚板のカウンターとテーブル席で構成されていて、ちょうど夕刻過ぎということもあって心地よい暗がり。席について渡されるひなびた風情のメニュー表が可愛い。この日限定のデザートを紹介していただいたのですが、なんとなくコーヒーとチョコレートでこぢんまりと過ごしたい気分だったのでオススメのペアリングセットをお願いしました。
コーヒーを舐めつつ暫く読書に没頭していたら、カウンターの端の方にいた仕事帰りと思しき男性のところに限定のデザートが運ばれたらしく「うわぁ!まるで宝石みたいだねぇ」という声が聞こえて微笑ましかった。店員さんの付かず離れずな距離感が心地よく、時間がゆったり流れていきます。
そうこうしているうちに小説を丸々一冊読み切り、お会計へ。非日常な空間で美味しいコーヒーを楽しむことができ、少し気持ちが晴れました。のんびりしていても圧を感じず、ゆったり過ごさせてもらえるありがたさ。次に行くときは宝石のようなデザートを食べてみようかなと思いつつ。

喫茶 半月

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この日は知人に届け物をしに浅草橋へ。せっかくここまで出てきたのでと、ついでに喫茶半月へ。近隣に住んでいるらしい高齢の女性たちが穏やかに過ごしていてホッとする。鉄観音のパンナコッタなるものが目に入ったので頼んだのですが、これがとても美味しかった。
蔵前周辺を散歩するのは3ヶ月ぶりだったのですが、知らないお店があちこちにできていてびっくりしました。ギンガムチェックのカーテンが印象的なchigayaは揚げたてのドーナツが美味しそうだったし、家豆花のポップな店構えも可愛かった。蔵前の近代建築を巡ったり、東京復興記念館を見た帰りにこうしたお店へふらっと立ち寄っても良さそうです。ますますあの周辺を散歩するのが楽しくなりそうなのでした。

シクロ 日比谷ミッドタウン店

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日比谷のTOHOシネマズでリバイバル上映をしていた風の谷のナウシカを見てシクロでランチ。マイフェイバリットガールのきゃべつ太郎さんがおすすめしているのを見てからずっと行きたいと思っていたので、やっと行けて嬉しかった。付け合わせの生春巻きがカピカピじゃなくて嬉しい。煮豚もちゃんと柔らかいし、付け合わせの湯っぽいスープはちゃんとレモングラスが効いている。注文してすぐ出てくるので、時間のない時でも安心して駆け込めていいな。
日比谷ミッドタウンのフードコートっていつ行っても混んでいるイメージがあって、せいぜい日比谷焙煎珈琲でコーヒーをテイクアウトするくらいだったのですが、ゆっくり見てみるとベビーカーで子供をあやしながらスペインバルでランチを楽しんでいるお母さんたちがいたり、子連れの夫婦がオイスターバーで談笑していたりと客層の自由度が高くて良かったです。確かにチェーン店より少し価格は高め、かつ子連れで楽しめるお店ってあまり見ないよなぁ。あと案内板の表記には日本語がほとんどないのも不思議な感じでした。
日比谷ミッドタウンで映画を観たのは今回が初めてだったのだけど、周囲の飲食店が充実していて使い勝手が良い印象。一人なら近くにル・プチメックもあるし、帝国ホテルのパークサイドダイナーでブランチをしてから映画を見るのもいい。女友達とランチなら添好運に行っても、デリーモでお茶しても素敵。ちょっと良いところで食べたい時はテクストゥーラに行っても良いし、戦後闇市の名残を残す有楽町や新橋のガード下で飲むのもいい。
ところで先日上野公園を歩いてた時にも感じたことですが、日比谷公園もホームレスが本当に少なくなりました。年越し派遣村があったこと、一体どれくらいの人が覚えているのだろう。いつもこういった開発された土地を歩くたびに、ここにはいない人や視界に入らない人たちを考えます。

立ち食い寿司 根室花まる 銀座店

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銀座・有楽町方面でランチを食べ損ねた時の味方第一弾、根室花まるの立ち食い寿司。立ち食い寿司って自分の好きなものや旬のものを、板前さんとのやりとりや周囲のお客さんを見ながら決めていくグルーヴ感が楽しくて好きです。昔、船橋の吉光で一人立ち食い寿司の自由さに開眼して以来、定期的に開拓していたものでした。幼い頃から行儀よく食べることを躾けられてきたせいか、立ち食い寿司や蕎麦、コロッケやパンを食べ歩きしていると「私は自由だ!」と感じます。
東急プラザの10階にはこのお店の系列の回転寿司があっていつも行列しているらしいのですが、割とここはいつ行ってもすんなり入れて回転も早いので重宝しています。久しぶりに立ち寄ったら感染症対策として席は減らし、アクリルボードで仕切りも作られていました。
ネタの種類は豊富だし質も良いし、立ち食いでこのクオリティなら充分。ささーっと食べてすぐはけたい時にぴったりなので、一人で食事を手早く済ませたい時の選択肢としておすすめです。通し営業なので、銀座でランチにありつけず、でもお腹が減っている時に幾度かここに助けてもらいました。
この日は隣にいた高齢の女性が淀みなく注文をしていてかっこよかった。写真は彼女が頼んでいた秋刀魚が美味しそうでたまらず頼んだもの。久しぶりの立ち食い寿司、大変楽しかったです。

 ぴょんぴょん舎 銀座店

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銀座・有楽町方面でランチを食べ損ねた時の味方第二弾、ぴょんぴょん舎。掃除が行き届いて清潔感のある店内に清々しいほどの見晴らし、サービスも良いしイーハトーヴを意識したしつらえも可愛い。時間をずらせば休日でも人が少なく、のんびり過ごせるのも好きなところです。
ぴょんぴょん舎は昔家族で花巻に旅行へ行った時に初めて訪れて、以来虜になったお店のひとつ。つるつるモチモチとした弾力のある麺と、容赦無く辛いキムチ、優しさとしてのひとかけらの西瓜。どれも完璧な組み合わせで、夏になると必ず一度は食べたくなります。この日はミニサイズを食べたのですが、これだけでも十分満足感がある。夫が食べていたセンナムル冷麺も美味しそうでした。お店にはお土産冷麺も売っていたので、韓国出身と思しきおばちゃんにオススメの食べ方を教えてもらい、教えの通り家で作りました。
チーズケーキで有名なトロイカをはじめ、小岩井のソフトクリームに、かっこうだんごやひっつみなど、岩手で出会った食べ物は本当にどれも美味しかった。高校生のとき部活の合宿で盛岡のビジネスホテルに泊まったことも、友人とノッキン・オン・ヘヴンズドアに感化されてドライブで浄土ヶ浜を目指したこともありました。夫と中尊寺に行って小さい喧嘩をしたのも、徳が低いエピソードながらいい想い出です。
岩手山雄大な姿も、北上川の流れる風景も、またいつかこの目で見られる日が来ますように。


pâtisserie ease

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お土産で頂いたeaseのシュークリーム。小ぶりながらカカオクリームがみちみちに詰まっていて美味しかった。アマゾンカカオは昔何かで頂いて、その強烈で華やかなベリー感に痺れた記憶があるのですが、easeのシュークリームにも同じものを感じました。
後日お店でいくつかケーキも頂いたのですが、どれも個性が際立っていて面白かったです。と同時に東京だから出会えるケーキのように思いました。いいとか悪いとかではなく、そういう類のものとして。
見たところアントルメは無く、お店の作りを見ても、老若男女問わず楽しめる親しみのあるケーキ屋さんという立ち位置とは意図的に分けているように感じます。合う合わないは確実に分かれると思いました。
口コミで見るほどオペレーションも悪くなかったし、特に販売員の女性はきっちりケーキを説明してくれて良かった。これを食べることで自分の好みがクリアになったり組み合わせの妙の面白さを知れるなら、お店とのマッチングを超えた面白みもあるような気がします。これからどうなるか、先行きを見守りたいお店です。

 茶の葉 松屋銀座

夫と銀座で待ち合わせをするのに時間を持て余していたので、久しぶりに茶の葉のイートインを利用しました。このお店が本当に好きで好きで。店内の薄明かり、流れる水音。季節の枝ものが活けてあるところも風情を感じて落ち着きます。
メニューは煎茶・抹茶・玉露などの日本茶に、お菓子をセットにしたものが用意されています。何より合わせるお菓子を店頭に並ぶ練り切りも含めて選べるのが嬉しいところ。(ものによっては合わせるお菓子は決まっているものもあるので、店員さんに聞いてみてくださいね)

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この日は頭を冴えさせたかったので、抹茶と黒糖羊羹にしました。黒文字で薄く切ってちびちびといただきます。

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 一通り頂いた後に出される桜のお茶。
お店は感染症対策で30分入れ替え制になっていました。銀座の喧騒から離れて一人静かに過ごしたい時のショートトリップとして、とてもおすすめです。 

 Neue お菓子のセット

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ずっと気になってたNeueのお菓子セット!InstagramでNeueのアカウントをフォローして予約情報をチェックしてはいたものの、いつもタイミングが合わず「締め切りました」のストーリーを見てはため息をついていたので嬉しい。
セットの中身はガトーショコラにレモンケーキ、チーズケーキとプリンの4種類。どれも気前の良い大きさでときめく。セット以外にもその時々に応じてババロアコーヒーゼリーなどが別途提供されています。今回はカヌレがあったのですかさずテイクアウトしました。とはいえ全部一人で食べるのは流石に無理があったので、夫と半分こにしてお茶会に。

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 夫が一番気に入ったらしいガトーショコラ。半分以上食べていた気がする。夫がこれ美味しいね!と言うのはよほど気に入った時なので、本当に美味しかったんだろうな。最近彼が好む味が分かるようになってきて嬉しい。

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個人的に一番刺さったのがこのレモンケーキ。見た目がウィークエンドシトロンっぽくて可愛い。厚めのアイシングにレモンピールが散りばめられていて、口に含むと口溶けと共にレモンの香りがぶわーっと広がってクラクラしました。キンキンに冷えたレモネードに、頭のてっぺんから足のつま先まで浸っているみたい。しっとりした生地がレモンの個性を受け止めていて、きっちりすっぱいのに嫌な感じが無い絶妙なバランス感。

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お店の看板メニューだったというプリン。まずこの包装紙が可愛い。輪ゴムの色を揃えているのもクラフト感があって胸がぎゅっとなります。何よりカラメルがきっちりビターなのがいい。レモンケーキを食べた時にも思ったけど、ひとつひとつのお菓子からはっきりと作り手の意思を感じる。
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カヌレは外側をガリガリに焼き込んだタイプ。焼きが強めのカヌレが大好きなので嬉しい。対してラムの香りは控えめなので、香ばしさがダイレクトに感じられました。紅茶と一緒に頂いたけど、赤ワインと合わせても良かったな。
一通り食べてみて、どのお菓子もアクセントを効かせたい部分と全体のバランスが上手く整っていて、引き算の美学を感じました。一つ一つメリハリがついている味なので、以前お店でヴァンナチュールを提供されていたというのも納得です。ちょっと系統は違うけれど、食べながら西葛西にあるル・ラピュタのチーズケーキを思いだしました。
しかしテイクアウトでこのクオリティ、やっぱりイートインのデザートも偲ばれます。友人曰く、Neueのパフェは都内随一だったとのこと。いつか菅原さんの手がけたパフェを食べることができたらいいなと思いつつ、それまではテイクアウトを続けようと誓ったのでした。

美味しい暮らし #6月編

6月。やっと外出自粛要請が解除になり県外移動も可能になって、少しずつ元の生活に近づく過程を手探りしていた月という印象でした。完全に元の生活には戻れない中で、何を自分の行動様式としてマルをつけて、何をバツにするのか。
ひとまず外食をする時は、お店に並ばないことや混まない時間帯を狙っていくこと、風通しのよい店舗を念頭にお店へ足を運び、携帯用のアルコールスプレーを持参してこまめに消毒をするようにしています。何が正解かわからないけれど、自分の考えと行動に責任を持って、心が潰れないように趣味を楽しめる範囲を模索していく。
4・5月はずっと外に出れないこともあってお取り寄せや自炊に勤しんでいましたが、やっぱり外でご飯を食べたり映画を見たりすると、いい気分転換になってほっとしました。

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ダニエル カヌレとうなぎの寝床

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夫の出張土産第1弾、ダニエルのカヌレとうなぎの寝床。ダニエルのカヌレは兵庫出身の同期に聞いてからずっと食べてみたかったお菓子なので嬉しい!ちなみにうなぎの寝床はネーミングセンスに惹かれて買ってきたらしい。
カヌレはカリっとふわふわタイプで新鮮。私は親の仇ぐらい外側がガリガリに焼き込まれたカヌレが好きだけど、ダニエルの方が食べるシーンや人を選ばない印象があるかも。付き合いの浅い人へお土産で贈ると言われたら圧倒的にダニエルに軍配があがると思う。色々なフレーバーが楽しめるのも、一つ一つが小さいので罪悪感なく食べられるのも良い。あとうなぎの寝床がふざけた名前の割に結構美味しくて、ギャップがずるいな〜という印象でした。
いつか兵庫に行ったら神戸で(同期曰く横浜と変わらないのことだったけど、それは見てみないとわからないし)旧建築やお菓子屋さんを巡ってみたいので、いつかまた移動ができるようになりますように。あと兵庫出身の人たちが口々に推す、いかりスーパーという神戸版成城石井みたいなお店に凄く興味がある。別の神戸出身の同期は成城石井とは全然違うと言っていたけど、そんなプライドを県民に持たせるスーパーとは一体なんなの、面白すぎる。もう年単位で関西方面への旅行は諦めているけれど、もしまた西の方へ行く機会があったら開拓してみたい限り。ご当地スーパー大好き。

551 肉まんと焼売

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夫の出張土産第2弾、551の肉まんと焼売。2年前くらいに関空で食べたぶりだけどやっぱり美味しかった。たまに都内にも出店しているのは知っているけど、やっぱりお土産でもらえると特別感があって嬉しい。
551はその昔に文楽太夫の付き人をやっている知人に大阪土産で貰ったのがきっかけで知ったのだけど、そのせいか食べる度に彼女のことを思い出す。バンビのようなクリッとした目にショートカットが似合う線の細い人で、芸能人と見紛う麗しさ。しらふの状態だと澄ましていて取っつきにくいのに、お酒を飲むと豪快で甘えたになるのがめんどくさくも可笑しくて、年上ながら可愛い人だなと思っていた。不思議な引力が働いていた人。元気でやっているといいな。

オキーフのキャロットケーキ

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祖父の見舞いへ行った帰りに立ち寄ったカフェが素敵でした。祖父は思ったより元気そうで一安心。しかし、今できる背一杯のことをしたと思っても、時間が経つともっとできたことがあったのではないかと思ってしまう。介護だって、遠くにいてなかなか様子を見れない私より専門家に任せた方がいいのは百も承知だけれど、正しさとは別の方向で考え込む。
答えの出ない禅問答のような問いをぐるぐる回しながら落ち着くために近くにあったカフェへ。お店は海岸沿いの住宅地にあって、店内には建築や料理、哲学や文学の本などが揃えられており、気に入ったら購入することもできる。おそらく店名は画家のジョージア・オキーフから。
キャロットケーキはフカフカのにんじんケーキという風情で柔らかく、素朴で美味しかった。真っ白な店内と、目の前のケーキ、紅茶の湯気を眺めているだけで落ち着く。四散していた考え事を頭の中のおくべき場所へ置いたら、パニックにも似た焦燥感と罪悪感が和らいだ。このお店があって本当に良かった。今考えてもどうにもならないことはある。
あちこちを見る余裕が出てきたので、お店の中をぐるっと一周して気に入ったアアルトと建築学に関する本を買って帰った。お店で過ごした時間はわずかだったけれど、このお店の地域とどうかかわりたいか、どんなものを提供したいかという思想が感じられてとても居心地が良かった。小さなカフェから発信される文化はどんな実を結ぶんだろう。いつかまた行けたらと思う。


Venchi  ピスタチオのチョコレート

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美容室に向かって松屋通りを歩いていると、曲がり角にひときわポップに光るお店を見つけて足を止めた。壁一面に吊り下げられたイミテーションのジェラートが光を受けてキラキラと反射し、お店の前では大学生と思しき女の子たちが斜め45度の角度にスマホを掲げて写真を撮っている。微笑ましくて可愛いな。こういう女の子たちを見ていると素敵なものを見つける天才たち、と思う。
そんな光景を眺めていて、そういえば美容師さんはチョコレートが好きだったな、ということを思い出したのでここのチョコレートを差し入れることに。もう3年以上の付き合いになる彼女に髪を切ってもらう楽しみの一つが、美味しいお店の情報交換をすること。先日教えてもらったイタリアンが本当に美味しかったので、そのお礼を兼ねていくつかチョコレートを選びました。
途中、ピスタチオを使ったチョコレートをいくつか見つけたのでそれは自分用に。小学校2年生の時に、母が取り寄せたクリスマスケーキを食べて以来ピスタチオの熱狂的なファンなので、ピスタチオという名のつくお菓子は見つけるととりあえず買ってしまう。叶うならいつか生産国として有名なイランに足を運び、ピスタチオのクリームコロネを現地で食べてみたい。
美容師さんへチョコレートを渡し、つやつやになった髪の毛と緑色の銀紙に包まれたチョコレート菓子を携えて帰宅した後、いそいそとソファに座り買ってきたチョコレートを手のひらに乗せると、銀紙に白色蛍光灯の光が反射してキラキラと輝き、チープで可愛いジュエリーのよう。ペリ、と丁寧に包み開けて口に入れると、甘いチョコレートの中にピスタチオが香って美味しい。残りは冷蔵庫の中に保管して、6月前半の仕事が辛い時期にたくさん助けてもらいました。


鈴懸 和菓子色々

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友人に頂いた鈴懸の水羊羹と麩饅頭、それからわらび餅。この日は久しぶりにランチをする約束だったのだけど、本当に会えて嬉しかった!お互い待ち合わせ場所の遠いところから小走りで駆けより、会いたかったよ〜と抱き合って感無量でした。
夫のことは大好きだし一緒にいて飽きないけれど、やっぱり気の置けない友人たちとの時間は何にも代えがたい。今仕事で頑張っていること、最近とった資格、今後のキャリアについて、結婚後の心境の変化や相手の恋愛事情、最近気になっているコスメ、行って良かったキャンプ場。話が尽きなくて本当に楽しかった。
頂いた和菓子は一緒に頂いた丸八製茶場のほうじ茶を淹れて夫と半分こにして食べました。

チャイブレイク マサラチャイとマフィン

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車を走らせて三鷹まで来たついでに井の頭公園で夫とデート。散歩のお供にチャイとマフィンをテイクアウトして散策しました。ずっとここのチャイを飲みたいと思っていたので嬉しい。お茶の渋みとミルクのバランスが調和していて、スパイスは多く入れていないはずなのにきっちり印象に残るチャイ。配合の妙という印象で、これらを都度再現するなんて凄い。自分で作るとつい日和ってお砂糖少なめ、スパイス適当チャイにしてしまうけど、きっちり甘くしてスパイスの配合も計算した方がやっぱり美味しいんだよね…
あとマフィン!散歩途中に低血糖になるのを防ぐために買ったのだけど、これが久しぶりに自分好みの外側ほろほろ中しっとりのマフィンで嬉しかった。昔千川に「mufmuf」というめちゃくちゃ美味しい紅茶と絶品なマフィンを出すお店があったのですが、そこのマフィンとすごく似ている。あのよくありがちなボソボソマフィンじゃないんだよ!もうあんな美味しいマフィンには出会えないと思っていたので嬉しかった〜。
ところで以前インドに長期滞在していた夫曰く「現地のチャイと同じ味がする」とのことでした。ほんまかいな。
f:id:lesliens225:20200720160241j:plain公園の池には生まれたばかりのカイツブリの雛がいてとても愛らしかった。なんだかんだ1時間くらい夫と愛でていた気がする。チイチイ鳴いて一生懸命母親を追う姿よ。
なんだかんだ井の頭公園は初めてだったのだけど、予想以上に広くて歩きがいがあって楽しかったです。

 夫の誕生日祝いでお寿司

結婚して2回目の夫のお誕生日祝い。何がいいか聞いたら「うーん、寿司!」とのことだったので、前々から行ってみたいと思っていたお店を予約しました。清潔感のある店内、季節感のある一輪挿し、一枚板のまな板に、木製の冷蔵庫。清廉としたお店の佇まいに、自然とこちらの居ずまいを正されるような良いお店。

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エビの昆布締め、ほんっとうに美味しかった…家でやるのと全然違う(当たり前です)。火を通してレアの状態にする技術の素晴らしさ、そして昆布の旨み成分に海老の甘さが全然負けていない。ちょっとわけがわからなくて、お腹がいっぱいになっていなかったらもう一回食べたかった。

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一口で食べきれない大きさの気前のいい穴子。フワッフワで香ばしくて、少し甘いタレがほどけたシャリによく絡んで美味しい。

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見た目と裏腹に口に含んだ途端シュワっと泡のように消えていく卵。おそらくメレンゲ状にしているのだけど、あまりにも儚い。この卵をお布団にして眠りにつきたい。酔っ払って写真を撮るのを忘れてしまったけど、出される酒器もそれぞれ美しくて良かったです。
どのネタもつまみも素晴らしく印象に残っているのですが、その中でも共通してシャリの印象がすごく良かった。始めは一瞬固めに握られているのかなと思ったのですが、噛み進めると丁度いい塩梅でホロリとほどけていって目を見張ります。穴子の時はのっけからほどけていたのでネタによって力加減を変えているのでしょう。外連味のない、誠実に美味しさを探求していった人が作り出す美味さに痺れました。
お店のしつらえもお寿司もうつわも一部の隙がなく、職人気質なんだろうなと思い始めは親方に話しかけずにいたのですが、「美味しい!」というとこちらをちらっと見てニコッとされ、そこからは少しずつ技術のことなどを教えていただけました。押し付けがましくなく、でも欲しい情報を適切に下さって、その距離感がとても心地良かった。後からもう一人、初めて江戸前寿司を食べるという青年が来たのですが、彼がそう言うと親方は要所要所で小ネタを挟んでいて、お客さんに合わせて接客の様式を変えられている姿にグッときました。
お店を出た帰り道、ずっと夫が「美味しかった!」と言っていて大満足。このお店で夫のお誕生日をお祝いすることができて本当に良かった。いつか子供ができたらこうした贅沢もできなくなるかもしれないけれど、こうやって美味しいものを食べて幸せな気持ちで夜道を二人で歩いた想い出があればやっていける気がします。
流石に毎月は連れて行けないけど、夫が喜ぶことなら可能な限りしてあげたい。今は金銭面では夫に支えてもらっている部分が大きいので、早く同じ年収とはいかなくても片方に何かあった時に支えられるだけのお金は稼げるようになりたいな。ひとまずは来年も夫の食べたいものをご馳走できるように、仕事で成果を出していくぞ。

おまけ 夫が作ったゴーヤチャンプルー

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 最近夫が作れる料理のレパートリーが増えてきた中で、一番気に入っているのがゴーヤチャンプルー。どんな風に作っているのか確認しに台所へいったところ、ゴーヤの入ったボウルがデンジャラスな形になっていたので思わず面白さが優って写真を撮りました。危なかった。
しかし夫が料理をしている姿を見ていると、身長が高いこともあって腰が辛そうなのがどうにも心苦しい。何かいい手段がないものかと頭を悩ませている今日この頃です。