東京で暮らす女のとりとめのない日記

暮らしとカルチャー、ミクスチャー

美味しい暮らし #8月編

気がつけばもう9月も終わろうとしており、光陰矢の如しを実感している今日この頃です。

仕事には慣れてきたものの、しんどくないかと言われたらそんなことは無く。

特に今月はコミュニケーションで悩むことが多かったのですが、とはいえ社会は多様な人がいて当然なので、これからはできる限り自分で工夫できるコミュニケーション(関わらないことも含め)を模索しつつやっていきたいと思ったりしたのでした。

ままならなさを前提にやっていくこと。売った恩は返ってこなくて当たり前、返ってきたら儲けもの。そのくらいのスタンスでやっていった方が気楽なのかもしれません。

ひとまず10月も健やかに生きるために睡眠を充分にとり、あまり先のことは考えすぎず、やるべきことをやり、美味しいものを食べ、ちょっとの無理と充分な休息を繰り返しつつやっていこうと思います。

酒坊主

写真を見返すと、どうやら8月の初めは夫と酒坊主に行って飲んでいたようです。というのも、この時仕事が過渡期でどこで何をしたかという記憶が定かでないという。

ただ写真を見てここの鮎ビリヤニ(正式名称は忘れました…)がほんっとうに美味しくて「生きねば!!」と思ったことはしっかり思い出しました。

これは私だけなのかもしれませんが、スパイスや香味野菜が効いたご飯を食べると、仕事や日常から少し離れて「生きよう、生活をしよう」という力が湧いてきます。なんとなく、旬のものを味わう感覚と似ているのかもしれません。食べる気付け薬的な。

しかしこうして食と共にその時の状況を振り返ってみると、新卒1年目でプロジェクトの一員となり派手なミスなく業務を行えて偉いな…新卒1年目なんぞ出勤しているだけで偉いのに…という気持ちになり、よくやったなと思うのでした。まぁ出勤しているだけで偉いは流石に冗談ですが。

こうしたしんどさも喉元過ぎれば熱さを忘れるなんてことにならないよう、来年の新人に対して期待値を上げて仕事を振ったり、相手の戸惑いに辛辣な対応をする先輩にならないよう、正気を保っていきたいところです。人間はすぐに忘れる生き物なので。

NAOZO 

那須へ旅行に行った際に立ち寄ったパン屋さん。木立の中にひっそりと佇む可愛らしいお店です。

この日は15時過ぎくらいに伺ったのですが、休日ということもあってほとんど売れてしまっていました。確か予約もできたはずなので、目当てで行く人はそちらが確実かと思われます。

パンの他には焼き菓子も。このお店に来るたびに、飴色に輝くルバーブのバターケーキが気になってしまいます。いつかタイミングが合えばテイクアウトしたい。

パンだけでなくハムやベーコンなども売っていて、こちらもとても美味しそうでした。

店内には可愛らしいカフェスペースもあり。

この日はブルーベリーマフィンとフィナンシェを買っていったのですが、どちらもとっても美味しかった!特にフィナンシェはバターじゅわっと系で良かったです。

いつも写真を撮る時はお店の方に許可を得て撮影をしているのですが、「写真を撮って良いですか?」と尋ねると、お店のお姉さんたちが「ぜひぜひ!」と笑顔で答えてくださったり、撮影後にお礼の挨拶をした後「またいらしてくださいね!」と声をかけてくださったりと、気持ちの良い応酬にすっかり元気をもらってしまいました。

また那須に来たら立ち寄りたいお店の一つです。

SHOZO CAFE

NAOZOに立ち寄った後は、那須のSHOZO CAFEでお茶をすることに。車で10分もない距離にあるので、はしごにはもってこいです。

ここのアイスオレが好きで好きで。

上にうすくのった生クリームには、洋酒で少し香りづけがしてあって、初めて飲んだ時は、今まで飲んだアイスラテ系の飲み物とは一味違う美味しさに感動してしまいました。

ミルクも乳脂肪分がしっかり感じられるリッチな味で、またそれに負けないくらい香ばしさと深みが感じられるコーヒーの味わいも良い。初めは層を崩さないまま、その後は少しずつミルクとコーヒーを混ぜて、良い塩梅を見つけて飲んでを繰り返していくのが愉しい。まさに夏のご馳走のような一杯です。

ちなみにこの日は好きなデザートを2種類頼める「ケーキシエスタ」というセットを注文しました。好きなものを好きなだけ食べられる仕合わせ。

頼んだのはスコーンとかぼちゃプリンで、かぼちゃプリンはかなりかぼちゃの味がはっきりしていて濃厚、でもコーヒーによく合う。これを甘さ控えめにせず、ガツンと打ち出すあたりに美学を感じます。

食事はもちろん、店内のインテリアやステンドグラスのはめ込まれた窓など空間も素敵ですし、店員さんのつかず離れずな接客も素敵。

スコーンやコーヒー豆はお持ち帰りも可能ですし、那須にお立ち寄りの際はぜひ足を運んでほしいお店です。

ウマスケ

この日は那須からさらに北上して、福島駅の近くにあるお店でお酒をいただくことにしました。気がつけば福島駅周辺に宿泊する時は、ここで日本酒を飲むのが定番になっているような。

お通しの山かけ鮪。するっといけて美味しい。

ほや酢。

ウマスケのほや酢は、プリプリのほやをポン酢に浸して食べるスタイルのほや酢。ほやは夫の大好物で、この日もほぼ一人で完食していました。これに淡麗かつ辛口の日本酒を合わせるのが大好きなんだそう。

刺し盛り。

出される際に店主の方から「岩手の牛乳瓶に入った雲丹ってご存知です?なんか最近有名みたいで、僕気になってしまって。今日届いたばっかりなので良かったら。」と説明された雲丹は、ちょうどツイッターでよく見かけて気になっていたものだったので喜んで頂きました。

ミョウバンを一切使用していないということで、エグ味がなくまろやかで美味しかったです。

太刀魚の天ぷら。

これがとっても素晴らしかった!太刀魚って塩焼きでしか食べたことがなかったのですが、揚げにすると外側がカリッと香ばしくなることを初めて知りました。加えて、内側は自身の油でとろっとろになるのですね…いやはやすごい一皿でした。

トウモロコシの天ぷら。

夏に食べたいご馳走の一つ。言わずもがなな美味しさ。少し酸味のある日本酒と合わせるとトウモロコシの甘さが引き立って良かったです。

そういえばこのお店、福島県民も知らないような珍しい日本酒が置いてあって、そのラインナップの充実ぶりも素晴らしいのですよね。お店に来る度に全種類気になってしまい、強い肝臓があればな…と思わずにはいられません。

締めに伊達どりの卵スープ。暴飲暴食の限りを尽くした五臓六腑に、地鶏の出汁が沁み渡っていきます。もし可能なら家に持って帰りたいくらい。これをシメにいただくために通っていると言っても過言ではありません。

ところで、夫は福島に来る度に「福島って山のものも海のものも美味しいものばかりで怖い…お酒美味しいし…」と言うのが常なのですが、美味しいものを食べては「もう福島のご飯以外美味しいと思えない身体になっていってしまうよ〜」と笑顔で悶えている夫を見ていると、笑ってしまう反面、しみじみありがたいなと思います。

あの肌寒い春の日、福島のものは美味しい、食べられて幸せと言ってくれる人がこの先現れるなんて当時は一切思い浮かばなかった。

今でも、福島のお土産を職場に持っていくときは少し緊張する想いがある中で、無邪気に福島のものは美味しいねと言ってくれる人がいると、この土地で生まれ育った者としては少し救われたような気持ちになるのでした。

 

 まるせい果樹園

夏だ!桃狩りだ!ということで、福島にある農園にお邪魔して桃狩りをしてきました。

あかつきが食べごろで、パリパリ系の桃が好きな私には夢のような場所でした。

農園に入った瞬間、むせ返るほどの桃の香りがして文字通り桃源郷といった風情。

桃の木の下では、小さいさんが一緒にきたのであろうおばあさんに食べた数を自慢していたり、お父さんと思しき男性がナイフで器用に向いた桃を家族の口元に運んでいたりと、ほのぼのした光景が広がっていて、桃は万人を幸せにする…などと思いました。

農園では桃パフェも食べられるとのことで、せっかくなのでそちらも頂いてきました。

生クリームに桃、バニラアイスというシンプルな構成でこちらもとても良かったです。

 

三澤屋

大内宿の中にある、風情のあるお蕎麦やさん。古民家をそのまま使用していて、土間や太い梁に、改築前の祖父母の家を思い出します。

お通しの蒸しイモとおみおつけ。懐かしい素朴な美味しさ。

名物のねぎそば。基本的にこの1本ネギを使って蕎麦を食べつつネギを齧るスタイルです(苦手な人にはお箸もあります)。

火の消えた囲炉裏のそばでお蕎麦を啜りながら扇風機の風を受けていると、幼少期の夏休みを思い出して心が和みます。

いつまでも変わらずあって欲しいお店の一つです。

 

三燈舎

カレー好きの友人から、神保町に新しくできたお店のミールスがなかなかよかったよ、との情報を得て休日に行ってきました。

清潔感のあって日当たりの良い店内は気持ちがよく、くつろいで過ごすことができました。頼んだのは三燈舎ミールス

ラッサム・サンバル・ライスはおかわりが可能でした。全体的に調和のとれたバランスの良いミールス。店員さんが給食のように席までやってきて配膳してくださるのも楽しかったです。

神保町には1年ぶりに行ったのですが、蘭州牛肉麺のお店ができたり、水道橋の方に足を伸ばせばバインミー・サンドイッチ屋さんがあったりと、多様な美味しいが軒を連ねていて良いなと思いました。

昔古書を買いあさった帰り道に、いもやで天ぷらを食べたり、柏水堂でプードルケーキをお土産に買ったり、エチオピアでカレーを食べたり、ラドリオでコーヒーを飲みつつ文庫本を読んだり、神保町シアターで小津のトーキーを見たりと思い思いに過ごしていた頃が本当に懐かしい。

うつろい変わってゆく街並みを横目に、新しいお店を開拓しつつ、いつかまたそうした時間を過ごしに来れたら、と思ったのでした。

サーラ アマービレ

友人のお誕生日祝いで、サーラ アマービレでランチをすることに。

大好きな友人なので盛大にお祝いしたい!という思いが強すぎたためか、ギリギリまでお店が決まらず。

悩みに悩んでグルメな知人に相談したところ、オススメされたお店でした。

かしこまりすぎない店内はくつろいでご飯を食べるのにちょうどよく、友人との語らいの場にぴったりでした。また、ドリンクがフリーフローなのも料理に集中できてうれしい。

料理も色々と素晴らしかったのですが、最後のリゾットが個人的にとても印象的でした。お米の芯がちゃんと残っていて、塩をギリギリまで効かせている度胸があるリゾット。美味しいのと話に夢中なのとで、写真を撮り損ねたのだけが悔やまれます。

デザートは桃と杏仁。この香水が欲しいと思うような端正な香りの構成で、食べながらクラクラしました。

何より友人が喜んでくれて良かった。美味しいものを一人で食べるのも好きだけど、誰かと分かち合うのも好きだなと思った1日でした。

 

McLean

このところスパイスカレーを作ることにハマっていて、この日は蔵前にあるインド食材を扱っているお店に寄った帰り道に、夫のリクエストでこちらを訪ねました。

お店は80’sのオールドアメリカンを感じさせる内装。ヴィンテージのポスターとか、これどうやって集めたんだろうと思うものばかりで見ているだけで楽しいです。

お水、調味料の類はセルフサービスで、棚に気前よく置かれたハインツを見てテンションが上がってしまいました。なんとなくハインツのケチャップとマスタードが置いてあるお店ってだけで嬉しくなるのは私だけなのだろうか…。

ハンバーガーはバンズはふわっとカリッとしていて香ばしく、パティは粗挽きで肉肉しい。全体的にとてもボリュームがあって食べでがあります。フレンチフライはホクホク系でこちらも美味しい。

ハンバーガーを包む紙が提供されるので、それに入れて食べていたのですが、近くにいたアメリカ人と思しき男性が、両手で潰しながら食べていたのも玄人感があってかっこよかったです。

しかし蔵前って雰囲気の良いお店が多くて歩いているだけで楽しい。そうと思えば古いお寺がひょっこり顔を出したりするのも興味深くて。いつか古地図片手にしっかり散策してみたい街だなと思ったのでした。

 

菓子屋シノノメ

最後は、同じく蔵前を散歩した時に偶然見つけたお店。カウンターに並ぶ焼き菓子に、生粋の焼き菓子ハンターの血が騒ぎ、即座にお店に飛び込みました。

幼少期に親戚にお土産でもらったウエストのリーフパイに出会って以来、骨の髄から焼き菓子が大好きになったのですが、特に焼き菓子って生菓子とは違って見た目は素朴なのに、味がめちゃくちゃリッチだったり焼きこみ方ひとつで印象が変わったりとギャップがすごくて、そんなところも惹かれてしまう理由の一つです。食べる時にポロポロ落としてしまう面倒さも含めて愛しい焼き菓子。

シノノメさんは焼き菓子だけでも10種類近くあって、しかもどれも美味しそう。どれにしようか決められずにウンウン悩む、幸せな時間です。

この日購入したのはラベンダーのパウンドケーキとフロランタンに、レモンとミントのクッキー。

特に感動したのがラベンダーのパウンドケーキ!これは本当にすごいので、一度焼き菓子を愛する人たちにぜひ食べていただきたい。

一口かじると、お口の中がめちゃくちゃドリーミーな香りと味でいっぱいになり、さらに紅茶を含むとその余韻がほわっと広がって恍惚としてしまいます。「こちら、黄泉の国で売っている焼き菓子です」と言われたら信じてしまうと思う。

まるで小川洋子の描く小説の世界に紛れ込んでしまったような、そんな素敵な内装で真剣に焼き菓子を選ぶという珍妙かつ愉快な時間を過ごせて嬉しかった。二階では喫茶室もやっているようなので、ここの焼き菓子が恋しくなったらまたいきたいな。

人生にはこうして驚くべき美味しいものと出会える余地がまだあると思えると、仕事も生活もちゃんとやろう、やっていこうと思えるのでした。

10月も引き続き頑張るぞ。