東京で暮らす女のとりとめのない日記

暮らしとカルチャー、ミクスチャー

美味しい暮らし #10月編

10月は資格試験に備えて修行僧のように最寄りのカフェで淡々と勉強する日々だったため外食も少なめでした。

六花亭

夫が出張帰りに買ってきてくれた六花亭のバターサンドとストロベリーホワイトチョコ。「これでしばらく生き延びられる〜!」と夫に抱きついて感謝しました。

物心ついた時から無類のレーズンサンド好きで、御茶ノ水の小川軒のラム酒がしっかり印象に残るものや、新橋の小川軒(あの雑居ビルの中にポッと現れる情緒のある看板と年季の入った店内も良い)の香りがよくサクサクしたクッキーに生地とクリームが美味しいもの、欧風洋菓子クドウ(中央林間店のクラシカルで上品な佇まいに毎度ときめく!)の溢れそうなくらいレーズンがたっぷり挟んであるものも、みんな違ってみんなそれぞれの良さがあって大好き。

何より寝ても醒めても夢中なこのお菓子に魅了されたきっかけが、このマルセイバターサンドです。

買ったばかりのフレッシュな食感も良いですし、日が経つごとに生地がしっとりしていくのも愉しい。バター感が強いので濃いめのコーヒーや紅茶にもよく合うのも良い。温かい飲み物を飲んだ時に、口の中いっぱいにバターの良い香りが広がるのも贅沢なお菓子という風情でうっとりしてしまいます。

六花亭のバターサンドの何より素晴らしいところは、その甘さで日常のつらさや悩みといった考え続けてしまうような事を一度頭の外へ追いやり、余白をもたらしてくれるところ。どんなにつらい時でも、家の中の冷蔵庫にこの銀包装で丁寧に包まれたこのお菓子があるというだけで「あとちょっと頑張ろう」という気持ちになれます。

もちろんバターサンド 以外も素晴らしく、ホワイトチョコをかけたイチゴの甘く爽やかな味わいも、単調な日常を彩ってくれるような美味しさでした。

六花亭のお菓子は他にもココア風味のビスケットにホワイトチョコのバランスが神がかっている「ゆきやこんこ」や、バターの芳香がたまらない「大平原」などがあり、美味しいお菓子には枚挙に遑がありません。(包装紙の可憐な野の花も大好き!願わくばテキスタイルとして販売して欲しいです。)

ところで少し話は逸れますが、六花亭は一般人が約8000冊の食に関する本を自由に閲覧できる六花文庫を開いていたり、内札内美術村を管理していたりとCSRにも積極的です。以前とある大企業が北海道へ支店を出す際に、企業の理念として「文化を作ること」を挙げていましたが、そうしたことに積極的な企業には好感が持てるなと思います。

加えて、六花亭は製造・サービス業にしては正社員の比率が高く、給与も(道内の最低賃金と比較して)高めの水準であり、30年間有給取得率100%、運営している保育施設を社員も利用できるなど、従業員の労働環境に配慮しているところが公開している情報からは伺えます。

どんなに好きなお店でも、親方が弟子を怒鳴っていたり、社員を体良く利用し人件費を抑えて美味しいものを提供したりしていると興醒めしてしまう。

どうか値上げしても構わないので、これからも美味しいものを安心して大好きで居続けられる企業でいて欲しいと、一消費者としては願ってやまないのでした。

バターナッツのポタージュ

9月に清里で購入してきた大きなバターナッツをポタージュにしました。バターナッツの皮で出汁をとり、実をハンドプロセッサーにかけてザルで濾し、生クリームを加えて弱火で煮たもの。

残った生クリームをおしゃれに飾ろうとしたら盛大に失敗しましたが、美味しかったのでよし!しかしながら寒くなってくるとポタージュスープが恋しくなるのが不思議です。ほの甘くて身体の暖まるものを食べていると、ほっと心が落ち着きます。今回は鍋いっぱいに作ったので、毎朝起きてこのスープを温めて飲むのが楽しみでした。

ところでかぼちゃを切るのはいつも一苦労させられるので、我が家に登場する機会は少ないのですが、このバターナッツかぼちゃはとても柔らかく切りやすかったです。これなら料理のハードルも低いかも。スライスしてチーズとアンチョビを乗せてオーブンに乗せても良さそうだと思ったので、次回買う機会があればやってみたいです。

 じゅんベリーCafe

友人に会いたかったのと、愛知トリエンナーレを観たかったので豊田市へ。お気に入りのカフェに連れて行ってもらい、初めて愛知の喫茶文化を体験しました。

美味しそうだったのでコーヒーと季節のシフォンケーキに無花果の(うろ覚え)タルトをお願いしました。

写真には写っていないのですが、この他にあんバタートーストとヨーグルトが付いてきて「???」と混乱していたところ、モーニングではサービスでこうしたトーストやヨーグルトが付いてくることを友人に教えられ、「愛知県民太っ腹すぎ…!」と衝撃を受けるなどしました。

 シフォンケーキもタルトも美味しかったのですが、特にコーヒーが美味しくて。友人はここでいつも豆を買っているようで良いなと思いました。店内の手入れしつつ年月を重ねてきた趣のある一枚板のカウンターや、アンティークな時計なども良かった。

ないものねだりなのかもしれませんが、こうして穏やかな時間を過ごすと地方都市への強烈な憧憬がこみ上げてきてしまいます。

東京は選択肢が多く楽しいこともあるけれど、時々疲れることもあって。喧騒から離れて、生活圏内に品揃えの良いスーパーとお気に入りの喫茶店、それと美術館と図書館があり、ささやかな浪費を愉しみつつどこか遠くの街で暮らしていくことができたらと思ってしまうのでした。

BUBU

愛知トリエンナーレを観るために名古屋へ行った帰り、名古屋市桜山区にあるビストロで友人と飲んだのですがこのお店が本当に素晴らしかった。

マンションの1階に開かれているお店で、扉を開けると気の良いマスターが迎えてくれます。置いてあるワインは基本的にビオワイン

写真を撮り損ねてしまったのですが、お冷はボトルで出てきて1本のローズマリーが入っています。一口飲むと口の中にローズマリーのさっぱりした香りが広がって良い気持ちに。初めてのお店なのに細やかな気遣いのせいか、既にこの時点で寛いでいました。

 鹿肉のレバーパテに鶏白レバーのムース。ここのレバーパテはお肉がごろっと系というよりも滑らか系で、とにかく肉の味が濃い。鹿の野性味のある土の香りにオススメされた赤ワインが相まって強烈な印象を受けます。対してレバームースは軽やかで口の中でスッと溶け、特に付け合わせのパンによく合う。対照的な二つの組み合わせに、のっけからワインが止まらなくなります。

ブラータと無花果ルバーブにミントのサラダ。出てきた瞬間美味しくないわけがないと確信しましたが、その確信を凌駕するくらい美味しかった。

無花果の深いまったりとした甘さとルバーブの酸味、ミントのフレッシュさがマリネされたことで一体となっていてこれだけでも美味しいのに、さらにチーズのコクが加わることによって一部の隙もない味になる。

友人が教えてくれて気がついたのですが、無花果は皮が付いていてこれがさっくりとした食感になっていたようで驚きました。芸が細かい。

秋刀魚のコンフィ。オリーブオイルに浸った状態で出てくるのかと予想していたのですが、オーブンでじっくり火を通した秋刀魚の上に、さらに秋刀魚の肝フレークを乗せたものが出てきて椅子からひっくり返るかと思いました。

特にこの肝フレークがとにかく美味しい!苦味とコクがあってこれを乗せて秋刀魚を食べると、自分の中の家庭料理としての秋刀魚が解体され、もの凄いインパクトでネオ・秋刀魚像が頭に叩き込まれます。こんなの家で絶対作れない。

豚のトマホークロースト。おそらく一皿200g以上はあるのではないだろうか、というくらい気前が良い量。タイムの香りのおかげなのか、豚特有の臭みとべたっとした油っぽさがなく、マスタードを加えたソースが爽やか。付け合わせの野菜もしっかり手が加えてあって痺れる。

ここでとうとう私も友人もお腹が限界になって悲鳴をあげていたところ、マスターが「よかったら持ち帰りもできますよ」と声をかけてくださり、お言葉に甘えて包んでいただきました。ありがたや。

 

マスターの人柄もチャーミングで、私たちが大食らいと知るや「いっぱい食べてもらえるのって本当に嬉しいんですよね」とニコニコされるのがとても気持ちよくて。お店の本当に良いと思っているものを集めたら必然的に空気が整ったような、結果的にはおしゃれな外見だけど、屋台骨はしっかりしている雰囲気もとっても良かった。帰り際東京のオススメのお店も何軒か教えていただいたので、近いうちに訪れたいと思います。

食べたいものがまだまだあったので、また名古屋を訪れた際には絶対に再訪しようと心に誓ったのでした。

ロミユニ・コンフィチュール

思い立って夫と江ノ島へデートに行った帰り道。以前友人に教えてもらってから気になっていたコンフィチュール屋さんへ行ってきました。

ああもう、こうしたディスプレイが凝っていて包装がいちいち可愛いお店が大好き。店内にところ狭しと置かれた美味しそうなコンフィチュールや焼き菓子にクラクラします。

購入したのは上の5点。特に左上のマンゴーソースが美味しかった!個人的にホワイトエールのビールと割ってフルーツビールにして飲むのが好みでした。

1枚前の写真の右下の袋に入っているのがコンフィチュールで、私はりんごとバニラのコンフィチュールと無花果ポルト酒のコンフィチュールを購入しました。

りんごのコンフィチュールはバターとの相性が良くて、スコーンに乗せたりトーストに乗せたりして楽しみました。

対して無花果のコンフィチュールはチーズによく合う!夜何も作りたくない時に、冷蔵庫からこのコンフィチュールとちょっと良いチーズをお皿に並べるだけで満足感があってよかったです。

紙袋も可愛らしくて思わず写真に収めてしまいました。鹿児島陸さんのほっこりしたイラストにときめきが止まりません。

きちんと折り目のつかないところに忍ばされたイラストにも、お茶目心を感じてニッコリしてしまいます。

お店の中にあるクッキー缶のデザインもどれも可愛かったのでクッキー缶が好きな人にはたまらないだろうなとも思ったり。そのうちの1つに100%Orangeがデザインしたものがあり、青春時代「Yonda?」君グッズを貰うためにせっせと新潮文庫の本を読み漁っていた者としては、懐かしさと邂逅したような気持ちになりました。

 

試験は12月まで続くので、気を抜かず美味しいもので癒されつつまた頑張っていこうと思います。ここまで読んで下さったあなたにも美味しく楽しい時間が沢山訪れますように。