東京で暮らす女のとりとめのない日記

暮らしとカルチャー、ミクスチャー

美味しい暮らし #3月編

すっかり外食の記録を更新しないまま5月も半ばを過ぎようとしています。書こうと思ってパソコンを開いても、頭の中の文章にたどり着く前に色々な考え事が頭を過ぎり、なんとなく書けないという日々が続いていました。こうして何かを先延ばしにしていると、昔大学生の頃に先輩が「今解決できない悩みは先延ばしにするのも一つの手だよ」と言っていたことを思い出します。何事も考え過ぎる私にとっては目から鱗が落ちる言葉で、特にこの状況ではこの考え方に救われることがいくつもありました。
生活の楽しみにしていた外食。いざそれができない状態に置かれてみると、私にとって外食とは親しい人と交流し、食事を通じて異なる文化や思想に触れ、分け合い、共有する時間でもあったのだなと思います。制限のある環境になって恋しくなったのはタイ料理や中華、イスラエル料理やインド料理などといった様々な国の料理と、美味しいねと言い合える友人たちとの会話でした。
新宿のバンタイでぬるい空調の中、ナンプラーレモングラスの香りにまみれながらシンハーを飲みたい。蒲田の金春で喧騒の中、水餃子を無心で食べたい。少し肌寒い日は曙橋の慶美でスジェビをはふはふと食べ、ぽかぽかになっていい気持ちで夜風に当たりたい。江古田のシャマイムでフムスとファラフェルにピクルスを頼んで、うまいうまいと頬張りたい。銀座のアーンドラでミールスビリヤニをお腹いっぱい食べたい。そして食べながら最近読んで面白かった本や映画や美術の話、政治やジェンダーの話、お互いを取り巻く近況などを親しい人たちと話したい。そしてその傍にいつもいる、過剰なくらい愛想がいい店員さんや、適当にあしらう店員さんたちが今はただただ懐かしい。彼らがここで無事に生きていけることを今は願うばかりです。

KANDY  スリランカカレーランチプレート

3月1日は日本橋のTOHOシネマズへ「1917」と「ジョジョラビット」を観に行きました。1917を見終わったあと、次の上映まで時間があったので近くにあったスリランカカレーのお店へ。

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選んだのはランチ限定のスリランカプレート。チキンと鯖とベジカレーの3種類と、ココナツサンボルやチャツネなど、副菜3種類にパパドにインディカ米という構成です。スリランカカレーは蒲田にあるアユールヴェーダ・カフェディディアンと水戸のコジコジで食した経験しかないのですが、Kandyのスリランカカレーはスパイスの使われ方がとてもマイルドな印象でした。3種類のカレーのうち、特に鯖カレーの出汁感が気になっていて調べたところ、スリランカにはモルジブフィッシュという鰹節のようなフレークで出汁を引く文化があるということがわかりました。ココナツサンボルと合わせると、甘さと香ばしさの上に魚の旨味が感じられてこちらもとても美味しい。南インドもカレーとはまた違った滋味深さ。あっと言う間にぺろりと食べてしまいました。
南インドミールススリランカカレーもそれぞれ単体で十分個性がある味なのに、全部混ぜてしまえばどの味わいも喧嘩せず、さらりと調和するのも好きなところです。合わないと思っていたものが自分の思い込みだったということ、味の濃淡が予想以上に楽しいこと。カレーを食べている間はどんな思想や信条からも自由になれるような気がするので、こんなにも好きなのかもしれません。

tabelog.com

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ちなみに今気になっているスリランカカレーのお店はこの2軒。外出が可能になったら自由に外食ができる喜びとともに、スリランカの味を噛み締めたいです。

汁なし担々麺 キング軒 銀座出張所

休日のお昼、夫がどうしてもどうしても汁なし担々麺の気分だと言うので、銀座にある広島ブランドショップTAU内にある汁なし担々麺専門店へ。ここの汁なし担々麺は広島式と呼ばれていて、通常の汁なし担々麺とは異なり、トッピングに青ネギが使われていることや、細麺で食べる前にかき混ぜることなどがポイントなんだそう。メニューから辛さが選べるので私はちょっと辛いくらいの3辛で、ネギを多めにトッピングしてくださいとお願いしました。

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もはやネギしか見えなくて笑ってしまう。流石にやりすぎじゃないかなと思ったのですが、そんなことはなく、こってりした醤油ベースの混ぜだれがよくネギに絡んで美味しい!麺はモチモチとした細麺で、混ぜだれのよく絡んだネギと一緒にすすると口の中にいろんな味が広がります。卓上調味料が充実していて、追い唐辛子や山椒をかけて味の調整ができるのも良い。痺れと辛さが交互に来るのも楽しくて、夢中で食べてしまいました。確か食べる前に20〜30回くらい混ぜる必要があり、最初は面倒だなと思っていたのですが、実際にやってみると「あと何回…」と数えながらひたすら無心で混ぜることで、やっとありつける時の喜びもひとしおになり、美味しさが格段に増すような気がしました。他にも友人から神保町にあるくにまつという広島式汁なし担々麺のお店が美味しいと聞いたので、近くに立ち寄る機会があれば行ってみたいです。

 もみじ饅頭色々

銀座にある広島ブランドショップTAUにはもみじ饅頭がバラ売りのコーナーがあって、いつも立ち寄る度に真剣に悩んでしまいます。

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今回はこの3つ。もみじ饅頭以外にもレモンケーキと大好きな桐葉菓を購入しました。この中で特にお気に入りなのがにしき堂のチーズクリームもみじ。カスタードクリームのような味わいと生地のふかふか感がとても好き。凍らせるとアイスクリームのような味になるそうなのですが、それまで我慢できた試しがありません。いつか大量に買ってやってみてもいいかもしれない。
もみじ饅頭との出会いは、まだ当時恋人だった夫と旅行で行った宮島がきっかけでした。厳島神社へ向かう参道の途中、あちらこちらに「もみまん」と書かれた看板や「揚げもみじ」という暖簾を見つけてはフラフラとお店の前に吸い寄せられ、その度に夫に笑われたいい想い出です。私が好き勝手にしていても、いつも夫は楽しそうにしてくれるのでありがたい。私が「広島には美味しいものしかないんだね」と言ったことを、今でも夫がお気に入りのエピソードとして話してくれることも含めて良い旅のお土産になっています。

キハチ トライフルロール

頂き物のキハチのトライフルロール。何年振りかというくらい、久しぶりに食べました。

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キハチといえば、友人に連れられて銀座の本店にお茶をしに行ったことがあり、以来そのことをお菓子と一緒に思い出します。「東京にはこんなにお洒落で美味しいものを食べられるところがあるんだ!」と驚いた懐かしい想い出です。以前お店があった場所を通りかかった時に影も形も残っておらず「私の勝手な妄想だったのかな」と肩を落としたことがあったのですが、今回ブログを書くにあたって調べたところ、すでに閉店しているとのことでした。あの頃友人と過ごした想い出の場所がなくなり少し寂しい気持ちになりましたが、とはいえお菓子があればその時のことを思い出せるのも事実です。久しぶりにキハチのケーキを味わいながら、少し背伸びをして振舞っていた私たちを想い出し、懐かしい気持ちになりました。
ところで、この写真を撮った時に我が家にはケーキをのせるデザート皿がないことに気がつきました。今年こそこれだ!と思うようなデザート皿に巡り会いたい。今気になっているのはバーレイのブルーアジアティックフェザンツスージークーパーのトリオです。なかなか商品に巡り会える機会がないのですが、こういうものは出会えるときに必ず出会えると信じているので今はじっと待っています。いつか手元に舞い込んできたら、嬉しくて抱いたまま眠ってしまうかもしれません。

ペストリーブティック ウェスティンデリ ホテルメイドクッキーアソート

今年のホワイトデーのお菓子は、恵比寿にあるホテルウェスティンのクッキーアソートでした。嬉しくて嬉しくて、たくさん写真を撮りました。

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紙袋から取り出すと、誰かが誰かのために手作りしたような、素朴で手にとって安心感のある見た目の缶がコロンと出てきます。シンプルな缶に麻の紐でラッピングが施され、封筒が小さなピンチで留められていて可愛い。

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封筒を開けてみると、クッキーアソートのメニューを説明する紙が入っていました。手書きのイラストや文字でひとつひとつクッキーの内容について書かれていて、なんだか親しみを感じます。

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缶を開けた瞬間、そのあまりに可愛らしい佇まいと、バターと卵の良い香りに思わず微笑んでしまいました。クッキーはホテル内で焼き上げられ、手作業で詰められているらしいのですが、どのクッキーもひとつも欠けたり割れたりせずに丁寧に並べられていて、製菓部門の技術力の高さを感じました。調べたところ、リュックに入れて持ち帰るなどの耐久実験もしていたそうです。

f:id:lesliens225:20200516225429j:plain細心の注意を払って缶から恐る恐るクッキーを取り出し、お気に入りの豆皿に並べました。たまらなく可愛い。手にとってから開封までのプロセスがきちんと演出されていることもあって、こうして並べてみるとまるで誰かに焼いてもらったお菓子のようです。
どのクッキーも素朴な見た目なのですが、見た目に反してきっちり美味しさの的を射抜いてくる印象です。例えば猫型のクッキーは少し塩気が効いていて、口に含んだ時の甘さの際立ち方が良い。バニラクッキーは口どけがよく、バニラの香りと共にすっきり溶けていってくどさが残らない。どのクッキーも王道でありながら個性があって、あれもこれもと食べている間にあっと言う間に全ての種類を一巡してしまう美味しさです。ちなみに、エグゼクティブペストリーシェフの鈴木一夫さんについて調べたところ、興味深いインタビュー記事を見つけました。

chefgohan.gnavi.co.jp

特にこのインタビューの後編で語られている、お菓子づくりのバックヤードに関するお話がとても印象的でした。ウェスティンデリは特にシュークリームがイチオシとのことなので、落ち着いたらテイクアウトに伺いたいです。どうかそれまで、素敵なお菓子を作り続けて欲しいと願っています。

バイロンベイコーヒー アイスコーヒー

週末、お出かけがてら近くにあったコーヒースタンドでアイスコーヒーをテイクアウト(夫はカフェラテでした)。

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暑い夏日に飲むアイスコーヒーは美味しい。ツルツルしたプラスチックの容器の表面に次第に溜まっていく水滴の美しさ、日差しを受けてキラキラと輝く氷。バイロンベイコーヒーのアイスコーヒーは注文してから豆を挽いてくれるので、しっかりした味のコーヒーが飲みたい気分の時はこっちがいいなぁと思います。酸味は控えめでボディが重く苦味がクリアに伝わる好みの味。他にも焼き菓子やサンドイッチなどのフードメニューも充実していたり、店内は長居しやすい空間づくりがされていたりと良い印象を受けました。浜松町駅周辺のカフェの中では一番好きかもしれない。今度行くときはフラットホワイトを飲んでみたいです。

アトリエうかい カップケーキ 

しばらく残業が続いて私と一緒にいる時間が少なくなるから、と夫がお花と一緒に買ってきてくれたカップケーキ。この他にプリンもあって「こんなに食べられないよ〜」と言った舌の根も乾かないうちに、気がつけば冷蔵庫にあったお菓子は忽然と姿を消していました。おかしいな…。

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かろうじて写真が残っていたシトラスとチョコのカップケーキ。カカオニブのザクザクした食感が美味しい。写真は残っていないのですが、何よりプリンが美味しかった。バニラビーンズが芳香でカスタードの味がはっきりしている、滑らかな舌触りのとても理想的なプリンでした。写真が残っていないものって大概美味しい気がします。
このブログを書いていて、そういえば去年のホワイトデーはここのクッキーだったなということを思い出し、もうあれから1年の月日が経っていたことに驚きました。彼と共に暮らすようになってから時間が経つのがとても早くなったように感じます。ひとりの人から様々な影響を受け、自分が変わっていく驚きと喜び。時々お小言を言ってしまうこともありますが、彼と共に生活することは本当に楽しく、こうして過ごしていると不安なことも恐ろしいことも、今後私たちの人生には一切起こりようがないと思えるから不思議です。
もしかするとこれは私の勝手で独りよがりな妄想に過ぎないのかもしれません。これからお互いの気持ちが変わることだってあるのかもしれない。それでも共にいると決めた以上は、ハンドリングできることもできないことも含め、面白がって労わりあって生きていけたらと思います。どんな関係であれ関係性は変わっていくものだけれど、それがどの方向へ変わっていくのかは誰にもわからないのだし、今は先がわからない不安に怯えるよりも、共に居られることを素直な気持ちで喜びたい。何よりも出会ってから今日まで、いつも彼が誠実さを行動で示してくれているのであれば、それが全てだと思います。
ひとまず今考えなくていいことは先延ばしにして、夫というのも可笑しいような、愛しい人と言うには照れくさいような、何の役割にも関係性にも囚われることのない、私の大切な人との日々を楽しんでいきたい。そして彼も私と同じとは言わなくとも、似たような気持ちを感じてくれていたらと願っています。彼のように優しくて誠実であろうと日々を重ねていきたい。相手を大切に想う気持ちを惜しみなく伝えていきたい。そして、来年のホワイトデーも「楽しい1年をありがとう」と笑顔で言えたらと思うのです。