東京で暮らす女のとりとめのない日記

暮らしとカルチャー、ミクスチャー

投票に行ってタコスを食べた日

10月31日は衆院選の投開票日だった。朝イチで起きて投票会場へ行く。会場に入る前にどの候補者に入れるのかメモをした内容を読み返す。いつも投票用紙を受け取る時は緊張するし、書いている時は間違ってないかと何度も用紙を確認してしまう。その分ひととおり終えた後はどっと開放感が押し寄せてきて、達成感と爽快な気分で足取りが軽くなる。その後待ち合わせをしていた友人と合流して「お腹減った!ご飯いこう!」と声をかけた。前回の都知事選ではこうして外食に行くこともままならなかったので、そう言えることがしみじみとうれしい。

投票の結果があなたにとって良かったかそうでないのかはわからない。けれど、もし残念な結果でも肩を落とす必要はないんだよと思う。その1票は決して無効になったわけではなく「私は政治に関心があります」と言う声になってどの政党にも届いているからだ。以前、政治の場で働いていた知人が「接戦の後に勝ってもあまり喜べない、その次の選挙までずっと重圧を感じる」と言っていた。次は勝てるかどうかわからないというプレッシャーが、相手の行動を変容させることもある。

投票率が上がったこともうれしい知らせだった。インスタグラムを見ていると、#衆院選2021のほか#わたしも投票しますというハッシュタグが5000件以上使われていた。Tiktokでは投票に関する動画が上がっていたり、街中を歩いていても若い人たちが気軽に選挙の話をしている場面に遭遇することがあった。近年SNSを中心にインターネット上で各政党のイデオロギーマニフェストが明確にわかるような場面が増えていたのも功を奏したのかもしれない。*1自主的に選挙割を実施している企業もあって、以前より選挙が親しみやすいものに変わっていっていることを感じていた。これまでの選挙より孤独感が薄く、投票所にならんでいる時もワクワクしたのは初めてかもしれない。

投票というのは、すぐに結果がでなくても未来の自分にメリットがある行為だ。パラダイムシフトが起こるにはタイムラグがあるように、仮に政権が変わったとしても私たちの生活が良くなるには短くない時間がかかる。それでもそんなことを認知しながら、少しでも多くの人の行動が積み重なって行った結果がこの投票率だとしたら、こんなにうれしいことはない。*2

今日がっかりしている人やモヤモヤした気持ちでいる人、出口の見えない暗闇にいるような気持ちで落ち込んでいる人は、まずは投票にいった自分をねぎらってあげて欲しい。こんな時こそセルフケアをして、ぐっすりねむろう。足の裏を軽く揉んで、あたたかいお湯を飲むのもおすすめだ。そして次の選挙も行こう。簡単に絶望しないためにも、まずは自分を労ろう。

f:id:lesliens225:20211031235724j:plain

写真は同じタコス屋で隣になった女の子たちが去った後のテーブル。「別姓にできないのめんどいから結婚に踏ん切りがつかないんだよね」という会話が聞こえてきて、この子達の未来に多様な選択肢がありますようにと祈らずにはいられなかった。

*1:近年投票率が下がっている要因の一つには、政党間の差異が曖昧であり有権者の意思決定にコストがかかることが分かっている。

*2:A・ダウンズのモデルによれば、有権者は投票の要否について経済的合理性に基づいて判断するため、生活コストなどと照らし合わせてメリットが無いと判断すれば投票へ行かないと言う。