東京で暮らす女のとりとめのない日記

暮らしとカルチャー、ミクスチャー

頬ずりしたくなるような点心をシックな空間で味わう 二重橋前「ヤウメイ」

久しぶりに友人たちと食事をすることになり、お店選びを買って出たものの、長らく食事会をしていなかったおかげですっかり勘が鈍ってしまった。食事に対する好みや経験、外食に求める優先順位が異なるメンバーに、これというお店がなかなか見つからない。困り果てていた時、ふとこのヤウメイを思い出した。ヤウメイはレストランプロデューサーのアラン・ヤウ氏と、金沢のアイエムエムフードサービス株式会社がタッグを組んで手掛けた香港式点心の専門店だ。点心というカジュアルな料理を、ラグジュアリーな空間で楽しむというコンセプトで、ヒップなレストランとして注目されている。

2018年にオープンして以来ずっと気になっていたものの、コロナが流行り外食が遠のき、今日まで訪れることができなかった。そうだ、点心なら食の好みにばらつきがあっても楽しめるはず。内装や照明の雰囲気も良さそうだし、サービスもいいと聞いている。よし、ここにしよう!そう決めて予約を済ませ、当日は女3人でヤウメイへ行くことにした。結論から言うと、サービスよし・味よし・雰囲気よしで、使うシーンを選ばないとてもいいお店だった。

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地下鉄有楽町線日比谷駅を降りて徒歩3分程度、二重橋スクエアのエスカレーターをのぼった先にお店はある。一度見たら絶対に忘れなさそうな外壁が印象的。検温と消毒を済ませてお店に入ると、クロークがあって驚いた。かさばる荷物はそこで預けて、店の中へと案内される。

YAUMAY (二重橋スクエア2F)|丸の内の美味しい中華なら|丸の内ドットコム

※こちらの画像のみmarunouchi.comから引用(https://www.marunouchi.com/tenants/10084/index.html

店内はジョージアン様式を基調としたシックな空間。見た瞬間、思わず香港の歴史が頭を駆けめぐった。間接照明の使い方も良い。視線を誘導したいところはハッキリと照らしつつ、食事をする場所は明度を落としてリラックスできるように工夫されている。いったい誰がデザインしたのか気になって調べると、ジュン・ヨネカワというフランス在住の建築家だった。パリでミシュランを獲得した”Le jin”の内装も彼が手掛けたらしい。

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カウンター席は白木を基調としたモダンな作り。席からは厨房が見え、点心師たちが腕をふるう様子を眺めることができる。ライブ感があって楽しいので、デートにも良さそう。

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テーブル席にはレ・クリントのナイトスタンドのようなクラシックなランプが置かれていた。やわらかい灯がテーブルを照らす。席につくとメニューが運ばれてきたので、真剣に眺めながらどれを頼もうかと相談する。うんうん悩んでいるとスタッフが「ここの点心は人数ごとに調整することも可能ですよ」と教えてくれた。スタッフは担当制なのか、初めから終わりまで側についてくれていて、おかげでくつろいで過ごすことができた。

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注文を決めてオーダーすると、目の前にお皿やカトラリーがテキパキとセッティングされ始めた。取り皿は自分たちで並べることを想定していたので驚く。

この日頼んだ飲み物は中国緑茶として有名な龍井茶。あまりにも美味しいのでどこの茶葉か尋ねると、レストラン専用で香港から直接空輸しているとのことだった。茶葉の種類も選びきれないくらい豊富だし、丁寧に淹れてもらえるし(何度もお湯を足してくれる)、使われている陶磁器も美しい。ノンアルコールでここまで楽しめるのがうれしい。友人たちはオレンジワインを楽しんでいた。

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最後に手前奥の3つの小皿に、左から豆板醤、チリオイル、醤油が注がれて完成。好きな味を点心につけてお召し上がりください、とのこと。

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すでにテンションが上がっている友人たちと話をしていると、ほどなくして頼んでいたものが運ばれてきた。まずは台湾豆苗のガーリック炒め。ニンニクと塩のシンプルな味付けと、シャキッとした歯応えがいい。どうしても食べたい!と言っていた友人が、幸せそうに味わっていてうれしくなる。

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続いて運ばれてきたのは、海老蒸し餃子(蝦餃)。香港の点心といえばこれだよね。つやつやの皮には思わず頬ずりしたくなる。噛むと弾力のある皮がはじけて、ゴロゴロした海老の旨味がじわっと感じられた。友人たちから「うまーい!」と声が上がって、ひそかにガッツポーズをする。

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続いては鴨肉の春巻き。この日は私のコンディションが良くなくて、油物をパスしてしまったのだけれど、友人曰く「肉肉しくてめちゃくちゃ美味しい。ワインがすすむ」とのことだった。点心が出てくるスピード感も適切でいい。お皿がたまりすぎず、かと言って遅すぎず。ここまでで「もうちょっと食べられるね」という話になり、さらに追加でオーダーをした。f:id:lesliens225:20220321083213j:plain

続いてやってきたのは海老焼売。クコの実があしらってあって見た目が可愛らしい。海老の食感もよく、肉の旨味に負けていない。焼売の皮は薄いのにつるりとしていて、食べると存在感がある。

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続いて水餃子。茹で上がったばかりのむっちりとした皮がたまらない。わざわざここで頼まなくてもいいかな?と思ったけれど、最初に用意された3つの調味料を堪能するにはこの料理がベストだった。

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最後に出てきたのはスペシャリテ蝦夷鹿のパイ包み。サクッとしたパイ生地の食感に、とろりとした餡のコントラストがいい。脂っぽいミートパイを想像していたので、かなり上品な印象を受けた。餡には胡椒が効いていて、最低限のスパイスで香りを効かせるアプローチに、京都の中華を思い出す。

 

心ゆくまで食べて飲んで、お会計はひとり当たり6,500円ほど。思っていたよりずっとリーズナブル。友人たちも満足していた。こうしてみるとヤウメイは、ホテルよりはかしこまっておらず、けれどチェーン店よりは華やかな、気軽に特別感が楽しめる絶妙な立ち位置のお店なんだなと感じた。肩肘張らずに過ごすことができるけれど、適度な色気もあり。ちょっとしたお祝いの時やデートにも使えるいいお店だった。

今回たどり着くことができなかった腸粉や帆立焼売、クリスピーアロマダックやマンゴープリンも気になるし、機会があればまた行きたいな。お店を出て思わず「こりゃ若い子は好きだわ…」と言うと、友人たちに「いやまだ十分若いでしょ」と突っ込まれた。会えなかった歳月を感じさせないレスポンスの良さに笑いつつ、2軒目へと向かった。

Imformation
店名:YAUMEI(ヤウメイ)
住所:東京都千代田区丸の内3丁目2ー3 二重橋スクエアビル2F
URL:http://yaumay.jp
備考:幼児は6歳から(2022年3月時点)/ 事前予約推奨