東京で暮らす女のとりとめのない日記

暮らしとカルチャー、ミクスチャー

深夜のベーグル研究会 Vol.1 初めてのベーグル作り編

最近、夜な夜な小麦をこねてはベーグルを焼いている。もともとパンの中で一番と言っていいほどベーグルが好きなのだけれど、なかなか好みの味に出会うことができず、こうなったら自分で作った方が早いのでは?と思い立ったことがきっかけだった。

ベーグル作りを始めて気がついたことに、ストレスが溜まっているときに小麦をこねると気分がいいということがある。調べてみると、これはStress BakingやAnxiety Bakingなどと名前がついている行為らしく、集中することと目に見える形で成果物を作ることが、ストレス発散の一因となっているのだそうだ。以前、ピザ作りをした時に「小麦粉セラピー」と言っていたが、あながち間違っていなかったのかもしれない。

そんなわけで始めたベーグル作りも、今ではすっかり楽しくなってきた。ここまできたらマイ・ベスト・ベーグルにたどりつくまでの記録を少しずつ残していこうと思う。目指すは外側はパリッと、中はむぎゅっと詰まった食感のベーグルだ!

ベーグル作りに初挑戦

時間は夜の10時。仕事を終えてヘトヘトになり、もはや食欲すらなくプロテインを飲むことしかできない。けれど今夜は絶対にベーグルを作ると決めていた。使用する材料は写真の通り。

・強力粉
・きび砂糖
・塩
ドライイースト
モルトパウダー

モルトパウダーだけは冨澤商店で買ってきたけれど、あとは家にあるもので揃えることができた。こだわる人は強力粉の種類から選ぶらしいけれど、始めてだし、失敗しても心が痛まないようありものを使うことにする。

さっそくボウルに強力粉ときび砂糖と塩を入れて混ぜる。本当はスキッパーという調理器具で混ぜるらしいのだけれど、うちのキッチンにはないのでしゃもじで代用した。

粉が混ざったら、中央部分にくぼみを作ってドライイーストを入れ、水を加える。くぼみから水があふれていく様子を見て「これ、くぼみを作る意味あったか?」と思ったものの、深く考えないことにした。そのまま粉っぽさがなくなるまで、しゃもじでグルグルと混ぜていく。

生地がだいたいまとまったらまな板の上に打ち粉をして、10分くらいこねていく。通常の生地より水分量が少ないせいか、こねてもこねても生地の質感がデコボコしたままだ。心配になって思わず色々なレシピを見比べ、やりかたに問題がないか確認したけれど、特に気にしなくて良いようなので、このまま進めていくことにする。

10分こねたらスキッパー、もといしゃもじで生地を6等分にする。いや、しゃもじって便利だな!?しゃもじの意外なポテンシャルを見た。

しゃもじで等分したあとは、そのまま生地をまるめていく。でこぼこしているのは、重さを均一にするために、多いものから少ないものへ、生地をちぎってくっつけたから。元レシピには「きれいに丸める」とあったけれど、神経質なくらいこだわるとパン作りそのものが嫌いになりそうなので、力を抜けるところは積極的に抜いていく。

そのあとは硬く絞った濡れふきん…はキッチンにないので、蒸し布をかけることにした。この状態にして15分ほどベンチタイムをとる。休ませている生地って独特の可愛さがあってクセになるな。昔、山田詠美の小説にもそんなシーンがあった気がする。

時間が経ったら、そのまま生地を平たく伸ばしていく。伸ばしたら、奥の方から手前に向かって空気を抜くようにして生地を丸める。そのまま3回くらい繰り返して、生地を棒状にしていく。

棒状になったら、だいたい20センチくらいになるまで生地を伸ばしていく。これはベーグルをきれいなドーナツ型にしたいために行うための工程なので、形にこだわらないときや、穴のないベーグルに仕上げたいときは短く成形しても問題ない。つまるところなんでもいいのだ。ああ、ベーグルのふところの深さよ。

棒状に成形したら、生地の片方の部分(約5センチ程度)を、手の平で押しつぶす。こうすることで、生地と生地をつないでドーナツ型にすることができる。

平たく潰した片方の生地で、反対側の棒状の部分を包み込むようにしてドーナツ型に成形する。だんだんベーグルっぽくなってきた!見栄えをきれいにしたいときは、閉じ目を下側にするといいらしい。

合計で6つ、ベーグルの原型が出来上がった。こうしてみると、自分がいかに「頑張らなくていいことは頑張りたくない」という性格なのかをしみじみと実感する。パン作りはそれが許されるのもいい。自分が食べて美味しけりゃいいのだ。

成形したら、オーブンの発酵機能を使って40分程度発酵させる。ベーグル(原型)たち、いってらっしゃい!

そうして40分経った生地がこちら。発酵前の生地と比べると、1.5〜2倍近くまで膨らんでいるのがわかる。発酵を止めるためにすぐに茹での工程にとりかかる。

沸騰させたお湯にモルトパウダーを加えて、再度沸騰させる。ぼこぼこと音がしたら、弱火にしてベーグル生地をいれていく。

ベーグル生地をいれると生地がぷかぷか浮いてくるので、片方ずつ30秒ずつ茹でる。これを6つ分繰り返していく。このときにオーブンを220度くらいで予熱しておくとシームレスに次の工程に移動できる。

そうして茹で上がったベーグルを、また天板にならべていく。発酵させた状態から、さらに生地が膨らんでいることがわかる。ここまでできたら生地をオーブンにいれ、温度を200度に再設定して17分程度焼き上げていく。うまくできますように!

ときどきオーブンを開けたくなるのを我慢して17分。できあがったベーグルは想像よりずっといい出来だ!初めてとは思えないくらいちゃんとしたベーグルができて、感動してしまった。

裏面はどれもいい感じに焼き目がついている。ベーグルの高さを出すために水に濡らした木製の板を置く方法もあるらしいけれど、焼き目と高さ的には天板にクッキングシートをのせるだけで問題なさそうだ。

断面を確認するために切ると、パリッとした音とぎゅぎゅっとナイフを跳ね返すような弾力があった。これは成功しているんじゃないか…?

実際に食べてみた感想

実際に食べてみると、外側はパリッとしている!ただ、中身が思っていたよりふかふか系だった。ベーグルサンドイッチにするなら、このくらいの弾力がちょうどいいと思う。ただし自分の好みを基準にすると、物足りないのも正直なところ。ふつうに作ってこんなに美味しいなら、もっと研究すれば理想のベーグルに出会えるのでは?

なによりできたてのベーグルって、粉の香りがふわっと漂って、クラストがパリッと香ばしくて格別に美味しい!そして作っている最中の没入感、出来上がった時の高揚感…日々の生活で硬くなっていった心がパン作りを通して柔らかくなるようで、とてもリフレッシュできると感じた。仕事で蓄積されたストレスでベーグルを生産する、もしかしたらこれもひとつのエコサイクルなのかもしれない(?)

大袈裟かもしれないけれど、自分が好きなものを自分自身で作り出せると、自分自身への信頼が増すように思う。日々の生活を、自分自身がよいパートナーとなって背中を支えてくれるような。自分を労っていく手段としてはもちろん、ベーグル作りができる自分がいるってなんて頼もしいのだろう。もっともっとベーグルを作って極めたいし、いずれは自分のベーグルで自分自身を満たせるようになりたい。こんなにベーグルを作るのが楽しいなんて知らなかった!

理想のベーグルへの課題

自分好みのベーグルを作るために様々なレシピを見比べてみて、ベーグルをムギュッとした食感にするには、以下の内容を見直す必要があることに気がついた。

  • 水分量を45%前後まで減らしてみる
  • 砂糖の量を多めにする
  • 捏ねる時間を5分にする
  • 発酵時間を短縮する、もしくは発酵温度を低温にする

特に水分量と発酵が肝のようなので、次回はその2つから見直しして再チャレンジしていこう。「理想のベーグルを目指しつつ、手が抜ける工程は徹底的に抜いていく」ことをモットーに、やっていくぞ!

余談 作る工程の見直しについて

youtubeでニューヨークベーグルのレシピを検索すると、材料をボウルにいれるときに水から始めていたり(確かにプロテインも水->粉末が一番溶けやすい)、茹でる工程をフライパンでやっていたりする(その方が温度調整も楽だし茹でられる個数も増える)ので、材料を混ぜる段階でくぼみを作ったり、鍋で茹でたりすることにはそこまで拘らなくて良さそう。ふきんもラップで代用して良さそうだ。

なかでも成形はニューヨークでレストランを経営するマーク・ストラウスマンのやり方が効率的で参考になった。

youtu.be

↑マーク・ストラウスマン、コメントがいちいち食を愛する人そのもので愛しい。

これなら3工程程度カットできるので、次回はこのやり方で挑戦していこうと思う。
(楽するための努力ならいくらだって惜しまない!)

今回使用したレシピはこちら

tomiz.com