東京で暮らす女のとりとめのない日記

暮らしとカルチャー、ミクスチャー

もう季節は秋

昨晩の地震で神経が昂っているのか、変な時間に目が覚めてしまった。慌てる夫を尻目に「大丈夫だよ」と呑気に構えていたものの、それなりに不安だったということだろうか。東日本大震災震度6強の揺れを経験したせいか、震度5程度の揺れだと驚かなくなってしまった。この身ひとつで大丈夫な揺れとそうでない揺れが感覚で判断できるようになったのも、今ではすっかり笑い話だ。これからもずっとそうであってほしい。結局使わなくて済んだバケツの水を流しながらそう思う。


すっかり朝夕が涼しくなって、もう今年の夏は終わったことを実感する。8月から9月にかけては感染者が多く仕事が忙しかったことも手伝って、結局夏らしいことは何もできなかった。感染症の拡大に伴い自粛が要請されるようになってから、季節が身体から抜け落ちて空白の期間だけが残るように感じている。8月の終わりに海を散歩したことが、唯一それらしいことかもしれない。マスク越しに感じる潮風がもどかしかった。

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朝の早い時間に訪れたこともあって、小さな子供連れの家族がちらほらいて穏やかだった日。なるべく人気がいないところでビーチコーミングをする。

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小さなヤドカリの巣になれそうな巻貝の殻が可愛い。小さい頃、こうしたものを集めて手作りのアクセサリーを作るのが好きだった。拾った巻貝の殻は、ヤドカリたちが好みそうな水溜りにそっと沈める。葉山は漂着物にシーグラスが少ないようで、この日はこれといったものを見つけることができなかった。

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神奈川の海は富士山の火山灰のせいで砂浜が黒い。地形のせいで砂浜自体も狭く、猫の額ほどのようだといつも思う。地元のあの砂丘のようにどこまでも続く、サラサラとした淡い色の砂浜が恋しい。夫に初めて由比ヶ浜につれて行ってもらった時、あからさまにがっかりした顔をしてしまったことをからかわれる。海辺で育った人間には、ひとりひとつ「私だけの浜辺」があると思う。

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季節外れのツバメ。近くに雛鳥たちがいて巣立ちの準備をしていた。夫が「ここからさらに北に行くんだね」と言う。

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砂浜を散歩した後は近くの国道を歩いて駐車場へ戻り、そのまま帰宅した。

感染症が流行ってから、こんな風に車で自然を感じられるところへ赴いては、現地の人と言葉を交わさずその土地のものも食べずに帰る、ちいさな気晴らしを続けている。緊急事態宣言が2ヶ月ぶりに解除されたので、今年の秋はもう少し遠方にも出かけたい。現地の人が不安になるような行為はせずに、ひそやかな旅をできればいい。あなたもわたしも、良い秋を過ごせますように。