東京で暮らす女のとりとめのない日記

暮らしとカルチャー、ミクスチャー

スーパーでたらの芽を買った話

仕事帰りに自宅近くのスーパーに寄ったら、葉野菜のコーナーに好物のたらの芽が売っていて思わずカゴに入れてしまった。198円の贅沢。

ふと目線を下げると、下段にはうどが雑然と並んでいた。うどかぁ、皮を剥くのと太いの細いのと分けて切るのが面倒だけど美味しいんだよな。これをきんぴらにしてお弁当に入れたら、それを楽しみにお昼まで仕事を頑張れそう。香りがいいおかずがお弁当に入っていると、なんでか知らないけれど幸せな気持ちになる。この前お弁当に鳥もも肉のクミン焼きを入れていた時も、みつばの卵焼きを入れた時も、香りがスイッチになるのか、一瞬仕事を忘れられて良い気分転換になっていた。面倒だけどお弁当の時間の充実感には変えられないか、と悩んだ挙句にうどもカゴに入れた。

春の山菜がカゴの中に入っているだけでなんだか浮かれてしまって、仕事であった嫌なことも日常生活のままならなかったことも、すこしだけ紛れるような気がする。もっと優しい言葉をかけられた筈なのに、時間に余裕がなくてキツい言い方をしてしまったこと。相手を自分に都合よくあしらってしまったこと。ごめんなさいと思うことも最近減ってきたような気がして、そんな自分が嫌になる。

せり・菜の花・きゃべつ・そら豆・絹さや・きくらげ。スーパーの棚から季節が一巡したこと、もうすぐそこまで春は来ていることを知る。毎年春が来るのは憂鬱だったのに、今ではすっかり好きになってしまった。季節と共に変わっていく。人との関係も、好きなものもそうでないものも、許せることもそうでないことも。

今年の春はどこへ行こうか、と商店街を歩きながら考える。見たいものも行きたいところも着たい服もたくさんあるけれど、すべて叶わなくてもまたこうして季節はきっと一巡してくれるから、焦らず目の前の大切なことに目を留める余裕を持って、今はのんびり構えていようと思う。