東京で暮らす女のとりとめのない日記

暮らしとカルチャー、ミクスチャー

大学生に戻って京都で暮らす(イマジナリー日記)

夫が今年の4月に1ヶ月間出張に行くことが決まったので、それなら私もその期間だけ京都に住んで、仕事はリモートでしようと思っていた。(しかし、夫の出張がなくなったので、その計画は白紙になった。)以前京都に行ってから、ここで暮らしてみたいという漠然とした思いがある。大学生の頃の恩師が学生時代を京都で過ごされていて、彼の思い出話が味わい深かったことに影響されているのもあるかもしれない。そんなわけで計画していた京都ひとり暮らしが白紙になった供養に、自分が大学生になったら京都でどう過ごすかをイマジナリー日記として書いてみようと思う。*1

 

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・3/24(木) 曇りときどき晴れ

今日は4回生の卒業式だった。もう「年生」ではなく「回生」と言うことにも慣れた。ただ、いまだに京都弁はうまく喋れない。その土地で育った人が話す言葉として方言を尊重したい思いがあるので、私がノリでエセ京都弁を喋るのはなんか違うんだよな…とか考えていたら、話す機会を失ってしまって今日までに至る。気づけばゼミ内で「頑なに標準語で喋るひと」みたいなポジションになってしまった。でも他人にエセ東北弁を喋られるとイラッとするし、京都弁もそうなんじゃないのかな。ゼミの先輩たちの送別会に出てアパートまで帰宅する帰り道、そんなことを考えていた。パーカー1枚で自転車を漕いでも、もうだいぶ寒くない。

・4/9(土) 晴れ

朝起きたらこたつの中で寝落ちしていてショックだった。身体が痛い。卒論のために『アメリカのデモクラシー』を読もうとするが、全く頭に入ってこない。仕方ないので、バックパックにキャンプ用の折り畳み椅子を詰め込んで、鴨川で読むことにした。最近買った水筒に、一保堂で買ったほうじ茶を注いでいく。うまい。前にフレスコで一番安い茶葉を買ったら、めちゃくちゃうすくて悲しかった。やっぱり茶葉は値段に比例するのか。「お茶っ葉は高いものを買え」を家訓にして、子子孫孫まで伝えたい。

・4/15(金) 雨

雨なので今日は大学をサボることにした。とはいえ有意義な1日にしたい。思いついて、ずっと行ってみたかったキートスでパンを買うことにした。この何か有意義な1日にしたい時に、美味しいものを食べておけばオッケー、みたいなところが私にはある。雨の日にわざわざ自転車を漕いでいる時の、この野生に満ちた躍動を見よ!と言う感じも好きだ。キートスではドライフルーツがゴロゴロ入った「魔女の杖」というパンと、イチジクとくるみの入った「妖精の枕」というパンを買った。

・5/7(土) 曇り

東京の大学に進学した友人が遊びにくるというので久しぶりに会った。大学に行くよりもこぎれいにしていったつもりだったのが、友人の服装があまりにもちゃんとしていて申し訳なかった。やはりビルケンではなく、996くらいにしておくべきだったか?あんまり変わらないか。友人が行きたいと言っていた烏丸のイノダでモーニングを食べた後は、金閣寺銀閣寺を見て清水寺をお参りした。修学旅行みたいなコースも友人と一緒なら楽しい。友人はこのあと大阪を観光して帰るらしい。JR京都駅の改札で見送って帰宅。

・5/15(日) 晴れ

今日は家庭教師のバイトの日。帰りに植物園に寄って帰った。植物園のなまぬる〜い空気が好きだ。自販機にもつめた〜い、あたたか〜いだけじゃなく、なまぬる〜いもあれば面白いのに。しかし世の中は面白いを基準にできているわけではないのだった。ついでに志津屋でいくつかパンを買って帰宅。BGMははっぴいえんどの「風をあつめて」。キートスのパンを食べてから、自分の中でパンブームが続いている。

・5/31(火) 晴れときどき曇り

今日はずっと講義。連続3コマ受けて疲れた。

・6/8(水) 曇りときどき雨

就活したくないなぁと思っていたら、面接会場をすっ飛ばして高槻まで来てしまっていた。戻っても間に合わないので、正直に言ってキャンセルする。電話口の人の対応が優しかったことが余計に申し訳なくていたたまれなかった。こんなんでちゃんと社会人をやれるんだろうか。せっかく来たから降りて散策しようかと思ったけど、この後の予定もあるのでやめておいた。しかし関西って近隣の県にアクセスしやすいよなぁ。東北なんて隣の県に行くのに半日かかるのがザラなのに。うっかりしていたら大阪っていうこの感覚には、いまだに慣れない。

・7/22(金) 晴れ

やっぱり就活したくね〜。期末試験もありムシャクシャしていたので、比叡山まで行ってハイキングをする事にした。めちゃくちゃに身体を動かせばこの煩悩からも解放される気がして。でも比叡山の僧侶って、歴史を振り返ると放蕩な坊主ばっかりだった気がする。もしかしてわりとキツい山を登って修行してもそう簡単に解脱ってできないの?マジかー。もはや煩悩にまみれてこそ人生なのかもな…なんてことを考えていたら、あっというまに頂上についていた。山頂からは隣の県が見える。琵琶湖きれいだな…見ていると自分の悩みがちっぽけに…はならないけど。でもちょっと気が晴れた気がする。疲れたので帰りはロープウェーで帰った。

・8/5(金)晴れ

夏休み初日。ゼミ仲間とレンタカーを借りて淡路まで日帰り旅行をする事にした。兵庫って車で2時間半くらいで行けるんだ。神戸出身の友人は夏になると、家族旅行で淡路や四国に行っていたらしい。東京の人が熱海に行くようなもんだろうか。
車の助手席からみた瀬戸内海はすごくきれいだった。海の色が淡い。舞鶴に行った時にみた海とは全然違う。車の中ではいろいろ話をしたはずなんだけど、誰も就活の話だけはしなかった。

・8/19(金) 晴れときどき曇り

部屋にいても一向に卒論が進まないので、研究棟にこもってやる事にした。夏休みの人がいない研究室は結構好きだ。晴れた日の研究室は、レースカーテンがひらひらはためいて、あたたかい光がさんさんと射し、この世の幸福を安易に感じられていい。論文は一向に進まず苦しいけれど、まぁやるしかない。しかし並行して内定先の課題をやるのがだるい。卒論に集中させてくれ。

・9/12(月) 曇りときどき雨

気がつけば鴨川の納涼床も終わっていて、普段の京都が戻ってきた。京都に住んでいるというと納涼床の話をされるのだけど、あれが京都かと言われれると、イマジナリー京都という感じがしてしまう。京都で生まれ育った人はまた違う感覚なのだろうか。じゃあ自分にとっての京都って何かなと考えて、やっぱり周りを囲む山と鴨川だと思った。
夜は居酒屋でバイト。お客さんが「京都にくるとお茶屋さんにつけてもらえるから便利」みたいな話をしていた。お金がなくても楽しいのが京都のいいところだと思っているけれど、一方でこういう人たちにしか見えない京都もあるのだろう。板長にもらったまかないは、明日の朝ご飯にする。明日は3限からだし、鴨川に行ってピクニック気分で食べてもいいな。

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こうして書いてみると、京都に対する解像度が荒くて恥ずかしいな。やたら鴨川に行きがちだし。いや、でも住んだらやっぱ行くな、鴨川。京都市内にお住まいの方々におかれましては、突っ込んだり笑って読んでもらえれば幸いです。

あぁ、でもやっぱり一度は京都に住んでみたいなぁ。週末は嵐山や吉田山をハイキングしたり、図書館で本を借りたり、鴨川でコーヒーを沸かして飲んだりしたい。そして東京に帰ってきた後は「東京ってしょうもないところだなぁ」と思いながら、淀んで硫黄臭を放つ目黒川を眺め、ぬるい缶コーヒーをすすり、京都で過ごした日々に思いを馳せたい。

 

過去の京都旅行の記事はこちら

lesliens225.hatenablog.com

 

*1:イマジナリー日記を書くにあたって、今の大学生活を想定して書いてみようとも思ったんだけれど、今まさに当事者がいる事に対して、たとえ創作でも部外者がそれを語るのは違うだろうと思ったので、あの当時の自分だったら京都でどう過ごすのかを想像して書いた。