東京で暮らす女のとりとめのない日記

暮らしとカルチャー、ミクスチャー

美味しい暮らし #8月編

振り返って8月、プライベートの記憶はほとんど無いなということに気づきました。薄々勘付いていたけれど、私は月の残業時間が40時間前後あたりで推移すると、コミュニケーションが煩雑になり、視野が狭くなって意味もなくパニックになるタイプだと思う。
働きたくないわけではないし、むしろ働くこと自体は好きだけれど、しかしそれはあくまでも対価を得られる労働が好きなだけで、仕事にやりがいや自己実現といったものは望んでいない。残業代を稼ぐことや、チャレンジングな案件のマネジメントに携わるよりも、家で勉強したり料理をしたり、ジムで適度な運動をしている方に充実感を覚える。あくまで仕事は健やかな自分を保つことができ、過不足なく生きるためで、それ以上でも以下でもないというのが私のスタンスだな、と思う。
通常の業務に加えて納期が短くかつ絶対に転けられないプロジェクト、トラブルによるタスクの発生と処理。新人教育のハンドリング。8月はもう無理だなと思う瞬間が何回もありました。自分の要領を軽く超えているので、来月からはもう少し意識的に手を抜いてやっていかないと壊れてしまう。周囲の人たちはみんな一生懸命で志も高い。でも一生懸命な人はトラブルを生むよな、とも見ていて思う。自分の立ち位置はどこに定めようか。
気がつけば仕事のことばかり考えていた月だったけれど、夫とペルセウス座流星群を見るために夜の城ヶ島へドライブをした時だけは、それから解放されて晴れ晴れとした気持ちになれました。
平たい岩場に仰向けに寝そべると、ひんやりとした温度が背中越しに伝わって気持ちが良い。暗闇から寄せては返す波の音を聞きながら、目が慣れるまでじっと空を見つめ続ける。次第に白色の輝きが一つ、二つと増してくる。星々の集まり。夜空のきらめき。星明かりの濃淡から、銀河の在り処を推測する。時折、遠くの灯台の明かりが右目の端をチラチラと掠めては消えていく。
目を凝らさなくても、それが道理とでも言うように、まるで清水のごとく次から次へと流れ星が流れていくことに気がつく。流れ星が銀糸のような薄くか細い尾を引いて、暗闇に吸い込まれていく姿を見ていると自分の心の中にそれが流れ込んでくるように錯覚する。窮屈だった心と頭にわずかに余白が生まれてくるのを感じて、夫の方を振り返るとこちらを見て静かに微笑んでいることに気づき「この人はいつもそうだ」と改めて思いました。
同じように岩場に寝そべって星を眺めている他の家族の方から「お母さん今星が流れたよ」「あら、良かったわねぇ」と言う声が聞こえてくる。仕事は一生懸命になりすぎない程度にもう少し頑張ろうと思う。でも、これを一生懸命にならなくても回せるよう、組織としての仕組みも考えたい。

 

福島の桃 あかつきとまどか

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今年も実家から大量に桃が届いたので、ほぼ毎日夕食後のデザートに桃を食べました。去年はアールグレイマリネや桃モッツァレラなどを試したけれど、なんだかんだでそのまま食べる桃が一番美味しいねとなったので今年は特にアレンジは無し。特にあかつきは甘みが強く豊潤なので、サラダや前菜にするにはあまり向いていないように思う。
まどかは今年から出荷され始めた品種なのだけど、こちらはあかつきより甘くなく食感も固め。桃モッツァレラや、柑橘類を使用したマリネにはこちらの品種の方が合っているように思いました。香りはあかつきほど強くないので、香りが強い食材と合わせたら桃の風味が負ける印象です。
桃は常温保存派だけれど、二人暮らしでは桃が朽ちるスピードに消費量が追いつかない事もあり、なおかつ去年はそれで二玉駄目にしてショックを受けたので、今年は半分をアルミホイルで包んで冷蔵保存に。それが功を奏したのか、今年は腐らせずに全て食べきることに成功しました。ものすごい達成感、来年もこの作戦でいくぞ。しかし、気がつけば冷蔵庫には夫宛に贈られてきた梨やシャインマスカットが大量に自然発生しており、我が家の果物戦線はまだ予断を許さない状況なのでした。どうして。
ちなみに我が家は桃を剥く担当は夫。昔、私が桃の皮を剥くのに失敗して指を切ってしまったことがあり、以来我が家では夫が皮剥き担当を務めているのですが、毎年この時期になると夫の手から少し桃の良い香りがするのが風情があって好きだなと思います。

TA-IM 丸の内店

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8月に食べたものの中でどれが一番美味しかった?と聞かれたら迷わず真っ先にここの名前を挙げると思う。そのくらい強烈で美味しいランチだったタイームのランチプレート。この日は休日なこともあって二重橋スクエアの地下街は閑散としていました。
お冷はレモン水でアルコロックのグラスに入って出てきます。アルコロックのこのタイプのグラスはビール屋さんでよく見かけるけど、この使い方も可愛い。
始めに出てくるひよこ豆のスープは香辛料が効いていて具沢山で美味しい、ただただ美味しい。本当は今年イスラエルに行く予定だったんだよなぁとおもいつつ、せめて味でトリップできることをしみじみ嬉しく思います。
プレートのおかずはフムス、マッブハ、ババガヌーシュにファラフェル、サラダとピクルスにポテトフライ。これをピタパンにつけたり挟んだりして思い思いに楽しむ寸法です。日本人向けに肉や魚のおかずをプレートに組み込んでいないのも思想がはっきりしていて痺れます。中東や南アジア料理を食べる度に、野菜ってこんなに美味しくなるのかとため息をつくのですが、今回も「私は野菜のポテンシャルを何も引き出せていない…」と思うなどしました。野菜のポテンシャル、引き出して行きたい。
見た目に反してかなりがっつりランチなので、食いしん坊の人でも満足できるはず。イスラエルビールもワインもあるし、夜も使えていいと思います。今度は恵比寿のタイームにも行ってみたいな。

神田 Yaoyu 

もう仕事が限界すぎて、何か美味しいものを食べないとやってられんわと上長に長めの昼休憩をもらって家を飛び出した八月の中盤。向かった先はずっと気になっていた神田のYaoyu。

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入り口入ってすぐの内装が無骨で良い。85−71という数字は、シェフのお祖父さんがこの界隈で八百屋を営んでいた時に、帽子につけていた鑑札の数字とのこと。

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建築時の目印などもそのままで、誰かの秘密基地にたどり着いたみたい。階段を1段ずつ降りるたびにドキドキする。
お店の中はオープンキッチンに隣接するカウンター席と、テーブル席で構成されています。広々としていて気持ちがいい。

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この日のランチは花咲ガニと塩レモンの冷製パスタ。ずっと食べてみたかったので嬉しい!
パスタはアボカドベースの花咲ガニのソースが均等に和えられていて、具には蟹のほぐし身以外に刻んだコリンキー、レッドオニオン、松の実が入っています。コリコリ、シャクシャク、カリカリと食感が変わっていくのが楽しい。白くふわふわしたものはレモン風味のエスプーマで、ディルとピンクペッパーがアクセントとして弾けます。食感も味も変わるので、食べ進めても全く飽きない。美味しいの連続。幸せが一皿にぎゅっと詰まってる…思わずお会計をしていた店員さんに「美味しかったです!」と言ってしまいました。写真だと量が少ないように見えるけれど、ポーションもしっかりあって大喰らいの人でもしっかり満足できると思います。本当はデザートも食べたかったな。

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ランチを食べ終わって満足した気持ちで外に出ると、食べている間に今日のメインは売り切れていたようでした。
これは料理と関係ないのですが、個人的に店内に飾ってあるドウダンツツジがきちんと手入れされているのもとても良かったです。最近店内を生花や枝もので装飾しているお店も増えてきたけれど、濁った水のまま放置されている花や木々を見ると本当にがっかりします。仕事が落ち着いたらまたいきたいな。

鎌倉 こ寿々

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鎌倉駅に行く用事があり、手ぶらで帰るのも味気ないなと駅の改札内にあるお土産やさんを物色していたら、小柄で可愛らしいおばさんに「ご試食どうぞ」とニッコリ手渡されていただいたわらび餅。これがとても美味しかった。見た目は普通なのに、通常のわらび餅よりもむちむちとした弾力があって喉越しが良い。予想外の食感に目を白黒させていると「うふふ、美味しい?」と言われてハートを射抜かれました。ずるい。こんなチャーミングな聞かれ方をしたら買うしかない。しかし鎌倉には何度も足を運んでいるのに、こんなお土産があるなんて全然知らなかった。鎌倉は行くたびに発見があって楽しい。
お店のホームページを見たところ、都内だと高島屋の銘菓百選に定期的に置いているようです。わらび餅フリークの人は、見かけたら是非手にとってみて欲しいな。私も見かけたらリピートしようと思います。

kosuzu.sun.bindcloud.jp

成城学園前 成城あんや

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この日は夫と成城学園前にある猪俣庭園へ。以前、御殿場で見た岸信介邸の精錬さが忘れられず、吉田五十八が手がけた他の建築も見てみたいと思って足を伸ばしてみました。
書院作りの建築は豪奢で美しいものが多く、部屋の作りが分けられている様式に気づく面白さがありますが、対する数寄屋建築、とりわけ近代数寄屋建築は、小空間をいかに住宅に反映させるかといった趣向を知る面白さや、職人と設計者の苦労を伺い知れるところが好きだなと思います。もっと色々な建築を見てみたい。ところで茶道嫌いで知られた吉田でしたが、猪俣邸の茶室は立水屋が設けられ利便性が高く、茶人でもあった猪俣に対する配慮が伺えました。
帰りは駅の近くにあった成城アルプスの喫茶室で休んでいこうと思っていたけれど、この日は満席とのことだったので泣く泣く断念し、向かいにあった和菓子屋さんへ。大福でも買っていこうかなとお店を覗いたところ、餡子入りのわらび餅という目新しいものが売っていたので買ってみました。
家に帰って水出しの緑茶と一緒にいただいたけれど、餡子とわらび餅って意外と合うんだという発見があり良かったです。普段洋菓子を好む夫もこれは好みだったようなので、またあの辺りへ寄ることがあったらお土産に買っていこうと思います。 

ロイヤルホスト 神田神保町

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多分人生で2回目のロイヤルホスト。この日は夫がランチのお店を決めてくれていたのですが、なんと目当てにしていたお店が立て続けに3軒も休業。8月に入ってからなんとなくですが、自粛期間を何とか乗り切ろうとしていた飲食店がパタパタと力尽きて店を閉めているような気がします。落ち込む夫を励まして、近くにあったロイヤルホストへ駆け込みました。
ロイヤルホストを利用したのは小学生ぶり。仙台に住む親戚にお正月の挨拶ついでにとご馳走になった想い出のお店。当時地元のファミレスと言うとココスとデニーズ、サイゼリヤしかなかったので、初めてロイヤルホストに行った時は地元のファミレスにはない絢爛さに都会のお店だ!と思ったものでした。オニオングラタンのスープが好きさ。
今回頼んだのはアンガスサーロインステーキサラダ。付け合わせのケールサラダはきちんとマリネされているし、ピーナッツドレッシングも良い。ステーキの下に敷かれているカリカリのフライドポテトはグレイビーソースを受け止めるためなんだろうな。もちろんステーキそのものも美味しい。お皿もチープな感じがないし、カトラリーはよくみたらノリタケ
出された料理のクオリティもサービスも良すぎて「もはやファミレスではなくてレストランだよ、企業努力凄まじいな…」と思っていたら、すでに言われていたことでした。

「ロイヤルホスト」を一人“1万円”で豪遊…!そのメニューとは?(稲田 俊輔) | マネー現代 | 講談社(1/3)
いいなぁロイヤルホスト豪遊。いつかやってみたい。ずっと憧れつつ食べられていないブリュレパフェもあるし、今度勉強をするときはロイホを利用するぞ。怪我の功名として思いがけない良い体験ができ、かなり満足したランチなのでした。

南印度ダイニング ポンディバワン 武蔵新田

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やっとプロジェクトの区切りが見えて久しぶりに定時で退社できた日。このまま何もせずに1日が終わるのが勿体無くて、夫に「美味しいミールスが食べたい!あとヘトヘトになるまで運動したい!」とリクエスト。色々調べて家から離れたこちらのお店に運動も兼ねて自転車でいくことに決めました。
こぢんまりとした佇まいのお店は可愛らしく、店員さんに促されるまま席に着きます。メニューを開くとミールスの他にも薬膳カレーなるものもあり、さらにはドーサやパロタ、サイドメニューもデザートも充実していてクラクラしました。悩みながら食べたいものを絞り込んでいく楽しさよ。
結局夫はミールス、私はベジミールスに決めたのですが、仕事からの開放感と目の前のご馳走にテンションがだだ上がりでした。バナナリーフをお皿にミールスが食べられるなんて幸せすぎる。ちなみに写真は完成系で、始めは目の前に何も乗っていないまっさらなバナナリーフが運ばれ、そこにカレーなどがサーブされていく仕組みです。手食用にフィンガーボウルも付いてくる仕様なので、初めて手食に挑戦する人にも優しい。私も今回チャレンジしてみました。手食楽しい〜!

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食後のチャイはホットかアイスの2種類から選べます。夫はアイス、私はホットにしました。デザートにラドゥも付いてきます。嬉しい。

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ホットのチャイは目の前でエアーブレンドをしてくれます。ふわふわの口当たり、まろやかなスパイスにとろける。これをみていた隣の席の家族がどよめいて、その後ホットのチャイを注文していたのが可愛かったです。自分が注文したものが誰かの呼び水になると、謎のしてやったり感があります。
メドゥワダもマサラワダも今まで食べた中で一番好みの味だったし、大根のクードゥもじんわり優しいスパイス使いで良かった。「お腹くるし〜」と笑いながら家まで必死に自転車を漕いで帰りました。
最近お酒に弱くなったこともあり、一滴も飲まずに美味しいものでお腹を満たして運動してお家に帰るのも良いなと思った週末。今度行くときはレモングラスを使った薬膳カレーが食べたいな。9月も食べたいものを食べられるよう、粛々と生きていこうと思います。

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