東京で暮らす女のとりとめのない日記

暮らしとカルチャー、ミクスチャー

美味しい暮らし #12月編

今年ももうすぐ1週間が過ぎようとしていて、その時間の速さに驚きます。ぼやぼやしていたらあっという間に1年が経ってしまいそう。光陰矢の如しな日々ですが、目先の物事ばかりに追われず、今年も美味しいものとその空間を楽しむ余裕を持てますように。ひとりでも誰かとでも、日々を健やかに楽しんでいけますように。

外で出会った美味しいもの

リパブリュー 沼津店

f:id:lesliens225:20220101000800j:plain

何の予定もない週末、ふと思い立って沼津へと向かった。知人が住んでいる事もあり、もはや沼津には第二の故郷と言えるくらい足を運んでいる。この日は沼津リバーサイドホテルに宿泊して、駅前にあるリパブリューでクラフトビールを飲むことにした。店内には醸造所が併設されていて、ここでしか飲めないビールがあるのがにくい。
静岡にはベアードビールやウエストコーストブリューイング、マウントフジブリューイングや伊豆の国ビールなどのマイクロブリュワリーが豊富にあって、まさにクラフトビール大国。私の夫のように人生がビールと共にあるような人には夢のような国、もとい県だろうなぁと思う。私自身はビールを飲むとすぐお腹がいっぱいになってしまうので沢山は飲めないけれど、夫が一緒なら隣でひと口もらうことができるので、いつもよろこんでご相伴に預かっている。
この日、一番印象に残ったのが1,000 Coast IPAという、沼津港から田子の浦まで続く千本松原に沈む夕陽をイメージして作られたビール。ポエティックな導入もいいし、IPAらしいインパクトのあるコク深い苦味にカラメルのような香ばしさ、そしてその後に続く柑橘の香りがまさに夕陽が煌めきながら沈んでいくその一閃のようで、とてもドリーミーな飲み物に仕上がっていた。
帰りはホテルの目の前にある狩野川に沿って歩き、心地よい夜風にあたって酔いをさましながら夫と色々な話をした。夫とこうして知らない街でほろ酔いになりながら散歩をすることが人生の慶びなので、2022年はもっとそんな時間を作りたい。夫にビールを飲んで田子の浦に続く千本の松は見えたかどうかをたずねると、「田子の浦にうち出でて見れば白妙の 富士の高嶺に雪は降りつつ」と言うので、出来すぎた幸せに名服し難い想いがこみ上げて、この仕合わせが続くようにと川のほとりで静かに祈った。

桃沢キャンプ場

f:id:lesliens225:20220101000808j:plain

今年最後のキャンプは静岡にある桃沢キャンプ場のコテージに泊まってのんびりと楽しんだ。なかなかいいキャンプ場だったので、このことはいずれ別のブログで書きたい。キャンプ場にはピザ窯があり、夫が管理人さんに習いながら薪をおこしてくれた。ごうごうと立ち上る炎が怖くて、及び腰になりながらエイッとピザを窯に放り込んだのもいい思い出。(後から夫が撮った動画を見たら「ピザ職人見習いとして…」と言いながら、無意識に自分を鼓舞してピザを焼いていた)
今回チャレンジしたのはマリナーラ風のピザ。大谷石のピザ窯で焼いたピザは薪の香りがうつって香りが高く、サクッとした食感が素晴らしい。アンチョビとトマト、ニンニクがグツグツと煮えたぎっていて、いつまでもアツアツなのもさすが。今まで作ったピザで一番いい出来になった。夫に「これお店で出せるね」と言われて鼻高々。もし今の仕事がダメになったらピザ職人として生きていくね、などと軽口を叩く楽しい晩餐になった。しかし、本気になった夫がまさかピザ窯を購入するとは、このときの私は知らなかったのでした。

f:id:lesliens225:20220101000811j:plain

そして夜。久しぶりのキャンプをしたものの、すっかり勘が鈍ってしまっていて、途中で食べ物が尽きてしまった。お腹は減るし寒いしでどうしようもなくなってきた時、この日キャンプ場内に大阪から来たうどん屋さんが出店していたことを思い出し、大急ぎで屋台へと向かった。屋台から漂う出汁の匂いにお腹がぐうと鳴る。夫はかすうどん、私は梅うどんにした。
お兄さんが作りながら「かすうどんは初めてです?」と聞くので、そうですと返すと「かすはねぇ、ホルモンのことなんですわ。みなさん天かすとよう間違われるんですけど」と言う。大阪では焼肉屋のメニューにもあるらしく、ローカルで長く親しまれている食事らしい。思いがけず大阪の食べ物について知ることができてうれしかった。
かすうどんについて感想を書きたいのだけれど、すっかり夫から分けてもらうことを忘れていたので、いつか大阪に行った時に食べてみたい。梅うどんは梅干しの酸っぱさとかつおだしが冷えた身体にしみる旨さで、しみじみとよかった。外で食べるあたたかい食べ物って、どうしてこうも美味しいんでしょう。そのためにわざわざ冬のキャンプをしている節があるかもしれない。

お好み焼きそば 伊東

f:id:lesliens225:20220101000803j:plain

富士宮で用事を済ませた後、お腹も空いたので周辺でランチをできるお店を探してみると、ゆるキャン△にも登場したお好み焼きそば伊東があったので向かうことにした。土曜の昼時と言うこともあって、待ち時間は40分程度。この後の予定も特にないので順番が来るまでのんびりと待つ。近くの雑木林には寒くなってふくふくとしてきた雀たちがいた。お店の前には静岡大学の学生さんからゆるキャン△聖地巡礼に関するアンケート協力のお願いが掲示されていたので、QRコードを読みこんで暇つぶしがてら協力する。
肝心の富士宮焼きそばは香港の麺を思い出す歯応えのある食感で、五目の海鮮出汁とかつおぶしの旨味が重なり合っていてとても美味しかった。大抵の焼きそばは脂っぽくて途中で飽きてしまうけれど、ここの焼きそばは比較的あっさりしていて最後まで飽きずに食べきることができる。ビールよりも日本酒が欲しくなるタイプの焼きそば。何よりカウンターの雰囲気が抜群によかったので、いつかまた来ることがあれば、今度はぜひそこに座りながら焼きそばとおでんをいただきたい。

みを木

f:id:lesliens225:20220101000821j:plain

久しぶりに会う友人と小伝馬町でご飯を楽しんだ日。お店は感染症以降メニューをコース1本に絞って再開されている。はじめはコースが食べ切れるか不安だったけれど、ひとつあたりのポーションがささやかなこと、そして友人の助けもあって美味しくいただけた。品数が多いので、美味しいものをちょっとずつができる食いしん坊にはありがたいお店。魚料理メインなのも嬉しい。ビールだけでなく日本酒や焼酎、手作りの果実酒やソフトドリンクが豊富なので、酒好きでも下戸でも楽しめる。
写真は特に印象に残った鰆のムニエルと燻製したマッシュポテト、そしてゆり根。ほくほく、むっちり、なめらかの3つの食感がひとさらで楽しめる贅沢。何よりゆり根が大好きなのでここで出会えて嬉しかった。季節を感じる食材の数々は和食ならでは。こぢんまりとした店内は不思議と居心地がよく、久しぶりの友人との再開にはぴったりだった。
友人は医療機関で働いていることもあり、丸2年以上会えなかったのだけれど、変わらず元気そうな姿にただただ安堵した。ここ2年のお互いの話を肴に、小伝馬町の夜は穏やかにふけていった。

韓食 古家

f:id:lesliens225:20220101000836j:plain

2022年最後の昼ごはんは韓国料理。新宿伊勢丹でおせちを調達した後、レストランフロアにあるここでランチをとることにした。お店の名前は古家。元々韓国の金浦市にある韓国の伝統料理を提供するレストランが日本に出店したらしく、「食べ物こそ薬、健康の源」と言うことをモットーに食事を提供しているらしい。
食事の前には食前粥と水キムチが出てくるのだけれど、これが特に印象深かった。塩気は薄いのにコクがあって、胃に染み渡るような素朴な美味しさがある。この「うちは体にいい食事を提供しますよ」と言うメッセージ性のある料理は最後まで続き、ストーリーがあって楽しかった。全体的に薄味なので、いわゆる甘辛な韓国料理のイメージが変わったのもよかった。そう言えば以前友人が、韓国料理を「世界でもっとも繊細な料理」と言っていたけれど、ここの料理を食べると確かにそうかもしれないと思う。

f:id:lesliens225:20220101000842j:plain

おひやの代わりにはとうもろこし茶が提供され、食後には韓国から取り寄せた酢と蜂蜜のドリンクが提供される。甘酸っぱいドリンクが食後の口にちょうどいい。そしてこの器がとても可愛かった。スッカラやチョッカラも可愛いし、いつかはソバンを揃えたいと思っているので来年は韓国の器ももっと開拓してみたい。
何よりメニューに載っている写真以上のご飯とおかずが出てきてくるので、その気前の良さを称えて韓国版コメダと名付けたい。男性でも充分すぎるくらいお腹がいっぱいになるみたいで、隣の若い男の子が「もう食えない…」と呟いたのが聞こえた。男性ひとりのお客さんもちらほらいるし、伊勢丹のレストラン街では比較的空いているほうなので穴場かもしれない。サービスも丁寧なので、久しぶりに会う友人同士でのランチにも良さそうだった。

帝国ホテルプラザ はまのやパーラー

f:id:lesliens225:20220105122335j:plain

都内で好きな喫茶店をあげろと言われたら、はまのやパーラーと喫茶YOU、神保町のさぼうるを上げる。後者2つは2018年くらいからSNSブームと共に並ぶようになってしまい、気軽にいけなくなってしまったけれど、帝国ホテルプラザのはまのやパーラーはいつ行っても大体入れるのでありがたい。コーヒーを頼むとビスケットが1つついてくるところも好きだ。
個人的にはここのカウンター席が格好良く憧れているので、もう少し気後れしないようになったら使ってみたい。三条にあるイノダコーヒーと並んで、いつか座りたいカウンターのひと席。

家で作ったもの、食べたもの

ウーウェン きのこスープ

f:id:lesliens225:20220101000750j:plain

毎年肌寒くなってくると、あたたかい汁物を作る習性がある。暑くなると無糖の炭酸ばかり飲んでいるのに、冬になると全く手を付けなくなるのが自分でも面白い。今年も豚汁や野菜のポタージュなどをたくさん作った。特に頻繁に作ったのが、このきのこスープ。外食の予定が多くなって胃が疲れてきた頃、黒酢のまろやかな酸味ときのこの出汁が染み渡ったこのスープに何度も癒されてきた。きのこは冷凍庫で保存すると旨味が増すのであらかじめ冷やしておく。
ちなみに写真の箸置きは2021年にあたらしく迎え入れたもの。本当は夫用だけれど、この日はなんとなくこの子を使いたくて勝手に拝借した。大ぶりの器は無地のものが好きだけれど、箸置きや小鉢などは柄物などで遊ぶのが好き。箸は何年か前に東京ミッドタウンにある雑貨屋さんで夫が買ったもので、食洗機に入れてもきれいなままなところと、細めで使い勝手の良いところが気に入っている。

eclat.hpplus.jp

高山なおみ れんこんのじりじり

f:id:lesliens225:20220101000753j:plain

以前NHKあさイチ高山なおみ氏が紹介していたれんこんのじりじり焼きは、フライパンの上で適当に放っておきながらも大変美味しいおかずが1品でき、ずぼらな性格の私にはぴったりで2021年もたくさんこしらえた。メイラード反応が起きてカラメル状になった表面の香ばしさが素晴らしく、いつも塩だけでパクパクとたいらげてしまう。
このレシピは今年出版された『自炊。何にしようか』にも掲載されていた。六甲のふもとで一人暮らしを始めた彼女の目線からてらいなく語られる等身大の暮らしの光景は、すっきりとしていてすがすがしい。書籍の表紙がラップにくるまれた白米なのも潔く、ひとめ見て痺れてしまった。残った食材はどう使うのか、無理なく献立を組み立て続けるにはどうするといいのか、その料理と生活のフローが易しく記されていて、頑なになっていた何かがほぐされる。今年読んでいちばんよかったレシピ本だった。

カルミネ・アバーテ 海と山のオムレツ

f:id:lesliens225:20220101000757j:plain

カルミネ・アバーテ『海と山のオムレツ』の表題になったオムレツが美味しそうだったので、自宅でロザマリーナと呼ばれるしらすの唐辛子漬けをこしらえて、作中のレシピを頼りに再現してみた。夫が昨夜作っておいたジャンバラヤに乗せて欲しいというので、リクエストにお応えして丼のようにしてみる。クレオールアルバニアの合作のような空想世界の料理になった。
今まで自覚していなかったけれど、どうも私は辛いものに強いみたいで、夫が辛い辛いと叫んでいる隣で「?」と思いながらオムレツを完食していた。ロザマリーナは魚の旨味と唐辛子の辛さが癖になる美味しさで、辛いナンプラーのような調味料のようだった。パスタに使ったり野菜と一緒に炒めたり、バゲットに乗せたりして楽めたので、また生のしらすが安く手に入ったら作ってみようと思う。

柿のヨーグルトサラダ・柿の胡麻和え

f:id:lesliens225:20220101000814j:plain

お歳暮で柿が届いたので、水切りヨーグルトをのせたサラダにしていただいた。実を言うと柿は果物の中では唯一苦手なもの。ほくっとした食感と酸味のなさが食後の余韻に響くので、レモンやヨーグルトのような酸っぱいものでマリネするようにしている。

f:id:lesliens225:20220105202021j:plain

柿の胡麻和えは、和えごろもの砂糖を控えめにすれば成立することがわかった。ごまの香りと油分が柿のクセを消してくれるのが良い。ほうれん草はよく水気を切って、彩り目的で加えた。柿は食感を残すためにあえて角切りに。
感染症が流行ってから、自宅にあるお歳暮を友人知人に気軽にお裾分けできなくなってしまったので、食材を無駄にしないよう否が応でも向き合わなくてはならず、それに育てられた1年だったなと思う。料理の腕は感染症が流行って以降、相当に鍛えられた。しかし食事を作れば作るほど、料理人というのはなんてすごいのだろうと思わずにはいられない。

あんバタートースト

f:id:lesliens225:20220101000817j:plain

お歳暮の中に北海道の小豆があったので、お正月にむけてあんこを炊いた。適当にやったらタッパー3つ分もできてしまい、夫は粒あんが食べられないので、あんバタートーストにしたりヨーグルトに混ぜたりと、一人でせっせと消費することになってしまった。
写真は朝の風景。去年新宿にある沢村というパン屋さんで、小麦・水・塩・酵母のみで作ったハードトーストに出会ったことがきっかけで、朝はパンを食べるようになった。しっかりしたかみごたえのあるパン生地で、パリッともちっとした食感と小麦の香りがとてもいい。ボリュームがあるのでまるまる1枚は食べ切ることができず、いつも半分に切ったものを朝ご飯にしている。
都内には美味しいパン屋さんがたくさんあるけれど、人気な個人店は商品が品切れなことも多く、普段使いをするには少し値が張るので、こうしたこだわりのあるチェーン店が普段使いにちょうどよく感じる。朝おいしいパンがあるだけで、起きるのが楽しみになった。

ピッツァマルゲリータ

別の記事で書いたとおり、仕事のストレスからピザを焼くことにハマってしまった。2021年のはじめに「あなたはストレスからピザを焼き始めるようになります」と言われても絶対信じなかっただろうけれど、今やピザを焼くもとい生地をこねることがほぼ日常の一部になっている。
ちなみにこの記事を書いた後に、相互の人がピザ焼きの取組みを書いていたことに気がついた。タイミング的に真似したようで申し訳ない。彼が書いた記事の方が私の書いたものより100倍くらい面白いので、自宅でピザを焼こうと思う人はぜひこちらを見てください。人には人のピザライフがある。

初めて焼いたピザはオーブンの余熱が甘くてナンのようになってしまったけれど、回を重ねて大体の塩梅がわかるようになってきた。一度生地をこねてさえ置けば冷凍保存できるし、焼き自体は簡単なので、気づけばすっかりスタメンメニュー入りしている。何よりピザだと夫がよろこぶ。このブームがいつまで続くかわからないけれど、来年はもう少し気楽にピザ作りを楽しめるようになりたい。

友人から届いた菓子

f:id:lesliens225:20220101000832j:plain

2021年の最後の甘味は友人からいただいた淡雪のような干菓子で締めくくった。ありがとう、とても清らかで美味しかったです。

今月のおまけ

妹島和世西沢立衛/SANAA 『環境と建築』展 <TOTO ギャラリー間>

今年最後の展示は妹島さんと西沢さんの展覧会になった。彼らが設計した建築の模型を見ることができ、とても有意義だった。

f:id:lesliens225:20220105122324j:plain

f:id:lesliens225:20220105122327j:plain

f:id:lesliens225:20220105122331j:plain

SANAAが設計する建築はどれも周囲と調和するような涼やかさがあって好きだ。会場には2023年度に完成予定の新香川県立体育館の模型や設計書もあった。出来上がったらぜひこの目で見てみたい。

2021年のクリスマス模様

今年のクリスマスは私の仕事が収集つかなくなっていて、結局何も用意することができず、夫が用意してくれたラザニアを食べて過ごした。この端っこの少し固くなったところが好き。食べ物ってなんでも端っこが美味しいと思う。

f:id:lesliens225:20220105122240j:plain

夫の実家ではクリスマスに必ずミートソースを使った料理を作るらしく、去年もそうだったせいか、何となく私もミートソースを食べるとクリスマスを実感するようになった。こうして生活を重ねることで、相手に影響されて変わっていくことが楽しい。

f:id:lesliens225:20220105122338j:plain

後日、仕切り直しのクリスマス。もう全然クリスマスとは関係ない日だったけれど、やらないと私の気がすまなかったので夫に付き合ってもらった。メニューは鶏胸肉の香草パン粉焼きに、イカとセロリとフェンネルの柑橘サラダ、そしてピッツァマルゲリータ

f:id:lesliens225:20220105122341j:plain

パン粉焼きだけだと彩りがさみしかったのでトマトを添えて。

f:id:lesliens225:20220105122344j:plain

サラダはオリーブオイルと塩、ホワイトバルサミコ、潰した少量のピンクペッパーで和えた。

f:id:lesliens225:20220105122349j:plain

そしてピザ。日頃の成果を発揮できて満足。このくらいで腹八分目くらいだったので、来年はもう少し控えめにしてもいいかもしれない。
続いて食後にはクリスマスケーキを。今年はリニューアルオープンしたばかりのガルガンチュアのケーキにした。紅茶は頂き物のマリアージュフレール

f:id:lesliens225:20220105122403j:plain

今年私たちが選んだケーキはどちらも白が基調になっていて、冬の夜にぴったりなしつらえになった。キャンドルの灯りがきれいに映える。

f:id:lesliens225:20220105122353j:plain

夫が選んだのは酒粕のケーキ。ミニマルな見た目が可愛い。お酒の香りがふわっと優しく香る。

f:id:lesliens225:20220105122356j:plain

わたしはポートワインで煮た無花果の入ったケーキを選んだ。思いのほかしっかり甘かったので、半分食べてもう半分は翌日の朝ご飯にした。翌日もケーキがあるのが、クリスマスのいいところ。
毎年ケーキはアントルメではなくプティガトーを選んでいるのだけれど、色々な味が楽しめるし、食べすぎることもないので気に入っている。ふたりの暮らしを来年も私たちらしく彩りたい。

f:id:lesliens225:20220105122321j:plain

別の日には赤坂迎賓館でクリスマスコンサートを聴き、イヴの当日にクリスマスが楽しめなかった無念を晴らしたのでした。
それからクリスマスには例年通り、母子・父子家庭を支援しているNPO法人と、養護施設へ幾ばくかの寄付も。私は子供がいないけれど、血のつながった子を持たずとも、こうして子育てに参加することはできると思っている。日本は学歴できれいに階層化されているので、何も考えずに周囲の人だけを見て暮らしていると、貧困なんてなかったように思えて足がすくむことがある。それを忘れないためにも、この時期には寄付をする。
祝祭日があることでつらい思いをする人に、少しでも生きているよろこびを感じる時間がありますよう。そうした人たちが一人でも多く、来年は穏やかに過ごせますよう。

慰労会と2021年振り返り

f:id:lesliens225:20220105122306j:plain

年の終わりに地方のこぢんまりとしたレストランで慰労会をした。2021年でいちばん心に残ったレストランになったので、このことはいつか落ち着いた頃に話をしたい。今年はプライベートも仕事も、思い起こせば大変なことばかりだったけれど、正気を保っていられたのはひとえに夫の優しさがあったからこそ。本当に感謝している。何より夫との日々は愉快なことばかりで、彼と出会ってから自分の人生が残り少ないと感じるようになった。
2021年は外出できるチャンスが少ない分、出先ではその土地のローカルなものと少し背伸びをしたレストラン両方に行くことが多かった。そしてその両方で出会う食事が本当に素晴らしくて、どれも忘れられない出会いになった。特にローカルな食事は、その土地の歴史やオーセンティシティが感じられて、自分がどんな食事でよろこびを感じるのかを再確認するきっかけにもなった。
同時に都市から地方へと観光に向かう客人として、常に頭の片隅にはツーリズムジェントリフィケーションがある。誰かが愛するその土地の食事場所を、観光地として消費することが簡単にできてしまう時代で、発信媒体やバズらせない言葉遣い、その情報の届け方に至るまで考え抜いた人が編み出すインターネットはやっぱりいいなと思う。私もそうあれているだろうか。ツーリズムが落ち着いている今だからこそ反省することがたくさんある。
2021年は愛する食事場所やレストランと別れを告げ、そして同じ数だけ出会いのよろこびがあった。自分の行動がどのような影響を与えるのかを考え続けながら、来年もあなたに伝えたい美味しい場所をぼそぼそ声で記していけたらと思う。そして同じくらいある記せない場所は、これからも静かに愛でていきたい。

過去の記録はこちらから

lesliens225.hatenablog.com